先週、東京都五日市の近藤醸造「キッコ―ゴ丸大豆しょうゆ」を買いに行った。
というか、これはついでの話し。八王子で知人が展覧会をやっていたので、それを見に行った。それが主体。だが、八王子まで来ればチト足を伸ばせば五日市だからねぇ。
前回はいつだったっけ?
昨年の11月だったかぁ・・・。
我家的には、通常の料理ならば「キッコーマン丸大豆醤油」で事足りる。だが、もう少し醤油の良い風味や旨味が欲しい時には「井上醤油」を用いていた。これは実に素晴らしい醤油だと思うし、今更ワガハイがアレコレ書く必要はない程、その道の方々にも称賛されている醤油だ。
だが、「井上醤油」はやっぱり出雲の醤油だ。その香味には地域性が表現されている。つまり穏やかな傾向だ。
出雲蕎麦が、そういう感じだもんなぁ・・・好きだけど。
ハイ!ここで脱線しますぅ~~~
20歳の頃に何度も出雲に出かけたコトを、以前書いたと思う。松江ユースホステルの常連だった。そしてほぼ、あの地域の神社仏閣は網羅した。お陰でどれがどの神社の記憶か混乱を招く結果になったけど。
ただ、1980年代の出雲での経験だが、出会った人たちは優しかった。ワガハイが若く、一人旅だから心配したのかもしれないが、多くの方が声を掛けてくれた。ある神社を参拝していると、ご近所の老人が境内を掃除していた。
「どこから来られた?」
と聞かれ、「神奈川県だ」と答えれば、朝っぱらの時間から若造がウロウロしているワケだからナニか心配されたんだろうか?自宅に招かれてお茶を頂いた。菓子もついてきた。そしてゆっくりして行けと言う。なんなら昼飯食っていけ、と言う。
そんなコトが何度も起こった。
その優しさもさることながら、そうしたお宅の神棚の管理の行き届いた様子に感銘を受け、出雲地域の信仰の話しなども伺えた。ワガハイは別に出雲の研究をしているワケでもなかっただけに、ホントウは勿体ない話を伺えたのかもしれない。
申し訳ないが、その多くを現在となっては忘れてしまった。だが、感覚的には染みついたことがあった。それは伝統宗教を継承する大切さだ。この中には極めて感覚・感性の伝承も含まれていて、いわんや感情・感動といった官能的な伝承も含まれているというコト。
そしてそれらは案外、時を越えて共通認識を共有出来、神事を通じてご先祖とも共感出来るのだ・・・というコト。そしてそれらが失われれば、多くの伝統的な物が、単なるガラクタになってしまうということ。そうした理解を穏やかに叩きこまれた経験が、出雲で起こったのだ。
ワガハイにとっては、出雲は伝統文化を考えるための礎を気付かせてくれた大切な場だ。
その地域の醤油でもあり、「井上醤油」はまた一段と大切な経験を鮮明に思い出させてくれる香味でもある。
ここで脱線から復帰!
近藤醸造の丸大豆しょうゆは、その香味に関しては「井上醤油」に劣りはしない。そしてやはり香味バランスは東京の醤油である。出雲に比べると塩味が立つように感ずる。あとはどちらの醤油も伝統製法の洗練度の高いお仕事という感じで、優劣などつけられない。
というコトは・・・我家の香味感性には、やや近藤醸造の方が向いている、と言えば向いている。やっぱりワガハイは関東・東北の人なんである。
そんなことから、この近藤醸造の醤油を使いはじめてから、この醤油が徐々に主力になりつつある。
昔はねぇ・・・神奈川県二宮町に「峯尾醤油」というのがあって、派手さはなく、地味に滋味な醤油があったんだが・・・製造を終えてしまったからなぁ。グーグルマップで見ると、醤油蔵の跡形も分らなくなってしまった。残念だけど。
というワケで、本日は近藤醸造の「丸大豆しょうゆ」の自主的宣伝となった。ここを訪ねれば「めんつゆ」とかも売っているけれど、それは試したことはない。「めんつゆ」は自分で作るので必要ないから。
でも、他の商品の評判も良さそうである。ま、ベースとなる醤油が良ければ、悪いはずかないだろう。
ただねぇ・・・訪ねると店先にバイクツーリングの方がおられて、しかも3台のバイク!お土産に醤油を買われていたけれど、上手く運ばないとねぇ。間違っても転倒したら醤油が流れ出してしまう。そんなコトになったら醤油が勿体ないからねぇ。
と・・・怪我や命、バイクの損傷よりも気になる醤油の行方だった。