本日も前回 ↓ の続き。
Fさんはピアノの先生だった。そうは言ってもYAMAHA音楽教室の講師ではない。個人的に自宅や、何処かに招かれて教えていた。
ま、こう言ってはナンだがYAMAHA音楽教室的な教え方を嫌っていた人だった。それはワガハイも同感するトコロだ。という記述によって、YAMAHA音楽教室の関係者並びに習われておられる方々を、完全に敵にしてしまった。
それは昔から言われているコトが一因にある。美術では、結局のトコロ石膏デッサンといった受験方法が、その後のナニガシカにナンのイイコトがあるのだろう?というヤツだ。
ワガハイは石膏デッサンやる位ならば、人物や人体を描いた方が圧倒的に勉強になると思う。で、それは分かっている人は分かっているコトなんだが、実際の試験会場でそれをやるとなると・・・という問題から、石膏デッサンになるんだろう?
音楽の場合、それがもっとレッスン初期から始まるコトが問題だと、Fさんは語っていた。先ず、楽譜を見て弾く・・・のではなく「耳から入ってしまうのがイイんだけどねぇ・・・」という。楽譜の読み方なんて後回し、とにかく「聞くコト」が一番だと言っていた。
次に、一曲を間違えずに弾けるようにしようとする姿勢が気に入らないと言っていた。ではど~いうコトかというと「味わいなさい」という。さまざまな曲を弾けるようになって、指もアクロバット的に動くコトに観客は大騒ぎするけれど、そういうコトを問題にしているのではない・・・らしい。
それで音大に入りました・・・ある時、曲の解釈で悩んでしまう。そして先生に教えられるまま。Fさんは「そんなの、人に聞かなくたって、楽譜に書いてあるんだよ!」となる。つまり「楽譜の読解が表面に終わってしまっている」というような話だった。
ま、Fさんを天才としてしまえば、そうなのかもしれない。しかし、Fさんのレッスンは、音大生に執拗に聞く(味わう)コトを勧めたようだ(特に左手)。そうしてある時、その方は見開かれるように耳が開くようになるコトがあるらしい。そこまで頑張るらしい。
とりあえずFさんの話しはこれ位にしておいて・・・コレって知っている人ならば、かつて灘中で行われていたスロー・リーディングを思い浮かべるかもしれない。ワガハイは詳しくは知らんが、中学3年間をかけて一冊の本を読む授業だったらしい。
まあ・・・ソレが出来る環境っていうのは灘中だからという前提はあるだろう。でも、教育現場でのコトではなくて、一冊の本と徹底的に付き合う読書というのも、人生のどこかで経験してもイイと思う。
そういう本に巡り合えば・・・だけど。
ワガハイ的には子供の頃の読書環境はよろしくなかった。だから学校の図書館で休み時間を過ごし、読むコトが多かった。貸出っていうのは使ったコトもあったけれど、荷物が増えるのが嫌だった。ナニせ虚弱児だったからなぁ。
それでハマってしまった本があった。それが「シートン動物記」だった。ハイイログマや「ぎざ耳うさぎの冒険」の話しは何度も読み返した。そして読み返す毎に感動が異なり、物語の印象も変化していくのが興味深かった。気付かなかったコトに引っかかったりしたから。
でも、直ぐにそういう環境も失ってしまう。いつまでもシートン動物記ばかり読んでいる子供の様子に、親は余計なコトを言ってしまう・・・
「他の本も読みなさい!」
そして小学校高学年になって、別に私立中学受験など目指したワケではないので・・・と言いながらも、学校のテストで成績が上がらないのでは困るという現実において、ドリル練習の詰め込み教育となった。そして自発的読書から離れていってしまった。
ガッコの成績は上がったけれど、つまらん日々だったなぁ。
さあ、現在の子供たちの教育現場がどの様な感じなのかはワカラン。だが、昭和40年代の状況よりはマシになっているだろう。我が世代は児童数も多く、教育も量産体制といった様相だったからなぁ。
競わせてふるい落とす・・・
その後突如として読書熱が上がった。それは中学2年の頃だったか?その時は乱読・速読だった。とにかく毎日一冊は読み上げてしまう。そうして本の内容はアタマに入ってしまった。そういう感じで教科書もサッサと読んでしまった。
数学はねぇ・・・チト、そ~ゆ~ワケにはいかなかったけれど。
こういうのも、ナニガシカの訓練ではあるけれど・・・
以後の読書については中略。
それで成人し、仕事も始めてから友人から聞いた興味深い本がコレ ↓
20代のワガハイは、ナニかというとこの本を読み返した。そのため、な~んか製本が緩くなってしまっている。
たぶん、宮沢賢治ファンならば知らぬ者はいない名著だと思う。そして今でも入手出来る?のだろうか・・・
ちくま学芸文庫になっているみたいだ。
本当に「読む」という世界の扉を開いてくれた一冊だ。この本でワガハイは読書が始まったと言っていいと思う。言葉を味わい尽くそうという読み方に気付いたのだ。
そういう本に出合うのは、人それぞれの質とタイミングがあると思う。みんな、どの様な「目からうろこ」的な読書体験があるのだろう?
2000字を超えたので、また次回。