先日書いた(以下リンク先)イヤーワームについて、このところバッハ教会カンタータのナニガシカのフレーズが繰り返され、それが徐々に変化して簡略化され、何となくそれはチェロパートに近いような旋律になってきている。
別に鬱陶しいワケではないからいいが、こういう脳内にこびりつくような経験は、あまり映像ではないように思う。子供の頃・・・といっても小学校就学前までだと思うのだが、独特の幾何学的?としか言いようのない説明不可能なイメージが時折繰り返されるコトがあった。それは小児喘息発作の時とか、発熱時という事態に数回起こったコトだったと思うが、それが暫くは平常時にも突然フラッシュバックする時があった。
子供だから親に「なんか変なモノが見えるんだけど・・・」と言ったと思う。だが、こういうのは決して共有出来るコトではないからど~にもならない。「次の通院の時に先生に聞いてみようね!」といった母親の一言で終わったのだと思う。
決して心霊現象を見たのではないと思う。
そもそもコレは、イヤーワームとは違うものだけど。イヤーワームは聞いた音楽が切っ掛けになるのだし、そのフレーズを覚えてしまったからそういうコトになったのだ。決して体調不調の折に見た幻影は、そういう外部からの映像を見て覚えたコトに起因しているのではないだろう。
こういうコトは個人差がかなりあるとは思う。映画の一シーンが強烈で度々繰り返して脳内を占拠し、困ってしまう場合もあるのかもしれない。そりゃあ、高校生の時?だったと思うが、友人と「地獄の黙示録」を封切館で観ようという話になり、今はなき「有楽座」で観た。地元の平塚や小田原の映画館とは違ってスクリーンも大きくて黄ばんでいなかったし・・・そういえば「天平の甍」を観たのは平塚の映画館だったが・・・スクリーンに小さな穴が開いていて、そこだけポツンとドット抜けしたみたいになっていた。それが気になってしかたなかったなぁ・・・
脱線した。
それで「地獄の黙示録」だ。迫力があり過ぎて、それ以来数年間はテレビでさえ戦闘シーンは観たくなかった。そういう強烈さはあったけれど、夢にまで出て来てうなされるとか、そういうコトにはならなかった。それがどんなに迫真に迫った映像であっても、過度に脅された映像であっても、どこか嘘っぽい雰囲気を感じ取って虚構として受け止めるコトが出来た。だからトラウマにまではならなかった。
しかし、音楽はタチが悪い。あらゆるジャンルのあらゆるフレーズがこびり付く可能性がある。一時期、バルトークの弦楽四重奏曲でさえこびり付いた。
ひょっとして、こういうのが気になり始めると音楽は聴かない方が楽、という結論に至ってしまうこともあり得る。
こうした脳内支配力とでも言えるような性質が、偶像よりも圧倒的影響力を持っている点に昔々のプロテスタント教会は気付いていたのかなぁ?バッハの教会カンタータがアタマの中で鳴り響いているというのは、つまり祈りが自動的に継続しているようなものか?
ならば・・・イイか?
さて、ここで数日振りの登場、ピアノのF先生!礼拝音楽のスペシャリストでもあった彼女の晩年、充実した雑談時間が得られたけれど、その時にピアノの左手に関しての話しがあった。つまり要するに・・・「左手は要である!」というワケだ。
多くは楽譜冒頭部にヘ音記号が示されたパートだ。
ならばピアノに限らず、中低音楽器の重要性も然り!しばしばオーケストラでは埋もれてしまってナニやっているのか判然としなくなるビオラ(コレはハ音記号だっけ?)とか、チェロとか、あるいはコントラバスもそれにあたる。
まあ・・・やたらバイオリンは煌びやかで煩いからなぁ。
ピアノ演奏でも、主旋律ばかりに気をとられてしまうけれど、左が弱点だと演奏全体がよろしくないという。だから左手を歌ってみよ!となるらしい。ワガハイはレッスンを受けたワケではないけれど、まあまあ、時に聞く話ではある。
グレン・グールドのCDを聴いていると、彼の鼻歌が聞こえる箇所があるけれど、あれもどうやら左手パートっぽいし。
左手が右脳に繋がっているコトと、ナニガシカの関連があるのかどうかは知らん。理由は分らんが、折に付けて左手の話しが出てきた。実際にF先生が手元の安物キーボードで一節を弾いたりして具体例を示してくれたコトもあったけれど、左がしっかりしていると音楽全体が極めて安定して聞こえてきた。それは確かに実感出来るコトだった。
左手パートとは、彫塑で云うトコロの芯棒のようなモノだろうか?
絵画では下地だろうか?
いろいろ造形に置き換えようとも思ったが、なんか適当なトコロがない。
点・線・面というのとも違う。
ま、音楽は時間芸術だからねぇ。
空間芸術とは一致しないトコロも、そりゃあるワなぁ。
数日前(以下リンク先)に書いた、病院への動線上にあるパン屋さんで昼飯を買った。それが外来から帰宅する際の楽しみとなった。
この日は冒頭で書いたカンタータとは違ったBWV171のアリア(ソプラノ)がイヤーワーム状態だった。まあ・・・ず~っと繰り返されるのは微妙なんだが、以下リンク先で聴いてみてほしい。あなたはこのアリアでイヤーワーム状態に陥るだろうか?6:50辺りから始まる部分だ。
ハマっても知らんケド。