Etsuro1のブログ

関東南部で寝起きする男の戯言記録

「盛升」と「天青」の新酒・・・どちらも五百万石

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盛升 純米吟醸 無濾過生原酒

神奈川県厚木市七沢の酒蔵「盛升」

フロスト瓶に入れられて、如何にも「生酒」という感じの盛升が売られていた。これはスーパーの冷蔵棚に並べられていた。香味に関しては申し分の無い、期待感を裏切らない生酒だった。そして多くの人に賛同されるだろうという香味であった。こういう書き方をすると、ツウには向かないと思われるかもしれないが、そんなことはない。第一、時々出くわす生酒にありがちな臭さは微塵もなく、五百万石らしい若干のエグ味を残しつつも、スッキリと切れていく。なおかつ立香は生酒らしさを感じつつも控えめで含み香の方がやや勝りつつも控えめだ。ゆえに、合わせる料理も幅広いと言えるだろう。

大酒造元が売り出す「生酒」についても、概ねとんでもないことにはならない。この盛升も、そうした大手路線の外さない酒質に近似とも思えるかもしれない。しかしながら面白さは断然盛升の方が上だ。細かなところに生身の人間の感覚が反映されているというリアリティがある。新酒鑑評会での連続入賞といった賞歴は、別にEtsuro1にとっては関係のないことだが、それでも規定演技としての・・・或いは武道の型の評価のような意味合いがあるとするならば、入賞歴というものもダテではないだろう。

 

というわけで、珍しくたまには、幾らかまともなコメントも書こう。いやホント、大昔はナンジャコレ?って酒だった時もあった盛升※1だけに、嬉しいんですな。

 

※1 当ブログ「 2020年5月27日 神奈川県の酒を呑んでみるかな・・・その11 "盛升”」参照

etsuro1.hatenablog.com

 

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熊澤酒造 天青 純米無濾過生原酒 立春の朝しぼり

神奈川県茅ヶ崎市香川の酒蔵「熊澤酒造」

熊澤酒造は湘南茅ヶ崎に立地する蔵だ。とは言っても海に面しているわけではなく、やや内陸に入った寒川町との境に近い、JR相模線「香川」の駅に近いところにある。ここにはパン屋、レストラン、カフェ、ビール蔵も併設されており、一つの敷地内で熊澤ワールドが完結すると言ってもいいほどの、大人向け食道楽施設になっている。それぞれが、ちょっとオシャレでイイ感じのクオリティを有しているので人気も高いようだ。

当ブログでも昨年、この蔵の「湘南」というラベルの酒を呑んだことを書いたが※2、やはり「曙光」「天青」というラベルこそ、この蔵を代表する酒なのだろう、ということで、お久しぶりに蔵の売店を訪ねたのは、ちょっと前に当ブログで書いた寒川神社の帰り道である。※3

自宅に持ち帰って呑んだ「天青 純米無濾過生原酒 立春の朝しぼり」は、まさにこの季節ならではの旬をうたった製品らしく、新聞紙包装の瓶を取り出し、ラベルデザインもシンプルにして新酒らしさを明確にうたい、期待感は高まるのだ。

酒米は「五百万石」である。それらしいタッチも感じられるが、先の「盛升」よりも僅かに軽い印象。そして様々な香りが少しずつ感じられるようになってくる。それは抜栓後、時間が経つにつれて様々な香りが、ほんの少しずつだが感じられるようになってくる。したがって、自宅の静かな空間で一人集中してテースティングするには向かない。

勿論、日本酒の楽しみは、調香師のような世界でもないだろう。この酒は「熊澤ワールド」の中で完結された方が、より楽しめるもののように思われた。その提案は、単なる旨いもの食いではなく「文化」ではあるだろう。

やはり、コロナ禍が終わったら、「蔵元料理 天青」の料理とインテリア、そしてビールもあわせて楽しみたい一本だと思った。そこでこそ最大のパフォーマンスを発揮する・・・まさしく茅ヶ崎市香川の地酒だ!※4

 

※2 当ブログ「2020年5月5日 神奈川県の酒を呑んでみるかな・・・その2」参照

etsuro1.hatenablog.com

※3 当ブログ「2021年2月27日 昨日の寒川神社続編・・・宮山神社」参照

etsuro1.hatenablog.com

※4 ビールにピルスナーというのがある。日本で呑まれる主流の下面発酵ビールのスタイルだが、その発祥はチェコプルゼニピルゼン)であるな。「ピルスナー・ウルケル(元祖ピルスナーっていうような意味)」の醸造所に行って見学コースに参加すれば、その解説は「excellent flavor…」という言葉が連発。で、そこのレストランの料理は最高だねぇ~。プラハでビール呑んでる場合じゃないですよ!でもねぇ・・・熊澤酒造って、プラハの自家醸造やってるレストランのような感じもあるかなぁ。

 

昨年から、機会をみては神奈川県の日本酒を呑んできたんだが、だいたい呑む酒蔵が決まってきましたな。まあ、東から言うと・・・

泉橋・相模灘・残草蓬莱・盛升・丹沢山(隆)の五つの蔵と、それにもう一つ加えるならば箱根山だな。これは順位付けではない。あくまでもEtsuro1の香味嗜好や食習慣に合っているということだ。でもねぇ・・・このどれか一つでも気に入った酒があったなら、案外この五つの蔵の酒が好きになる人も結構居るんじゃないか?と思いますな。気になる方はお試しくださいな。