Etsuro1のブログ

関東南部で寝起きする男の戯言記録

五一わいん 塩尻ブラッククイーン2022

五一わいん 塩尻ブラッククイーン 2022

ブラッククイーンというブドウは、マスカットベーリーAと同じように新潟県の岩の原葡萄園で生まれた。つまり川上善兵衛さんのお仕事だ。ベイリー×ゴールデンクイーンという交配だそうだが、それらの品種を単独で食べたコトもないので、それらのどの様な性質を受け継いでいるのかは知り様がない。

で、とにかくマスカットベーリーAと比較すれば酸は強め、ワインの色も濃くなる。その特徴からワイン造りで使いこなせればマスカットベーリーAよりも本格的な赤ワインになる・・・と、期待された時期もあったと聞く。

だが、実際のところ市場ウケは芳しくなかった。とにかく酸が強すぎたのが原因だと思われる。確かにその昔、ブラッククイーンを生食したこともあったが、なかなか酸っぱいので辛かったからねぇ。そんなコトからか作付け面積は増加しなかった。一時は栽培が途絶えるのでは?とも聞かれた。

というコトは、より完熟状態で収穫すれば酸は穏やかになる。そしてより果実の皮には色素も蓄積されてタンニンが厚くなる・・・というのが単純な話し。実際、そのような栽培と醸造の兼ね合いが試行錯誤されていたとも聞く。少数のワイナリーで。

そのひとつがアルプスワインだったと・・・

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そして「五一わいん」もチャレンジしていたんだろう。つまり塩尻という、強烈なテロワールの下で試行錯誤されていた。

え?なぜ、強烈なテロワールというのか??

それはもう、寒暖差の激しさに尽きる。フルーツ王国と言われる地域は日本各地にあるけれど、我が経験値としては真夏の山形の凄さも体験しつつ・・・塩尻は耐え難い寒暖差だった。

 

今から40年近く前、ときどき書くがバイクに乗っていた。ヤマハのオフロードバイクだった。それは空冷DOHCの250ccエンジンで、軽量化を狙ったのかエンジンオイル量が少なめに設計されていた。それが仇となり、熱ダレ(オーバーヒート)し易かった。

真夏、中山道木曽福島から塩尻に向けて走る。そして塩尻に近づくとアスファルトである・・・気温は体感的に40度を超えているように感ずる。標高があって若干だが気圧が低いことも影響しているかもしれないが、信号で停止するとエンジンストール!

再始動不可!

路肩で大休止。

こんなコト、山形では起こらなかった。

勿論、山梨の勝沼でも起こらなかった。

ま、空冷エンジンなんで団扇を用意してあって、ソレで気長にエンジンを冷却して待つ。そして再び始動に成功。

 

そんな経験があって後日、山梨県出身者にそのコトを話した。すると・・・

「だからぁ!塩尻の連中、み~んな暑さでアタマやられているからおかしいんだよ。あんな寒暖差の中で畑仕事してるんだぜ。クレイジーだよ!だからブドウがみ~んな狂ったように甘くなるんだ。」

これ、クレイジーだとか酷いコトを言ってたワケだが、悔しいんだねぇ~。誉め言葉だと思う。決してハラスメントではないと思う。

もっとも、塩尻の人たちだって真夏の炎天下で長時間作業なんてしてはいない。朝早くから仕事をするそうだ。

ま、そりゃそうだよね!

 

そんな経緯もあるのか、山梨のブラッククイーンで醸されたワインよりも、塩尻のモノの方が酸がこなれている感じがしないでもない。先入観があるかもしれないが。

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と、言いつつも、酸の質さえ良ければ苦手ではないワガハイとしては、キザンワインのブラッククイーンも魅力的な一本だ。

だが、もう少し呑みやすいバランスとしてはアルプス・・・というよりも「五一わいん」をおススメしたいと思う。微妙な残存糖度が呑みやすさの秘訣かもしれない(かといって、甘ったるいタッチではないのでご安心を)。

裏ラベル

裏書にあるように、樽熟成ではなく、果実味を生かしているという。それでこのような酸を生み出しているのは、やはり収穫時期の見極めが幸いとなっているのではないか。

 

ま、とにかく相当に気に入ったブラッククイーンだった。コレは再購入するだろう。酸が好きな方には、特におススメしたい。例えば豚肉系の料理で、ソコソコの脂がノッた夏向きスパイシーな料理などには好適と思われた。

 

塩尻ブラッククイーン 2023www.goichiwine.co.jp