Etsuro1のブログ

関東南部で寝起きする男の戯言記録

【無濾過生おり原酒】2023年度醸造 純米吟醸 〈水色 隆〉槽しぼり

人間という動物と酒との関係について、ワガハイがアレコレと書くよりも「趣味の酒つくり ドブロクをつくろう実際編 笹野好太郎著 農文協から引用(やや省略)した方が要点を得やすいだろう。

・・・卑弥呼のことを記した「魏志倭人伝の中で「人の性、酒をたしなむ」「歌舞飲酒をなす」と書かれた私達日本人の先祖達は稲を植え、米を使ってドブロクをつくった。/以来、稲作農民は明治に到るまで誰はばかるところなく、ドブロクをつくり続けてきた。

「趣味の酒つくり ドブロクをつくろう実際編 笹野好太郎著 農文協」のサイトはコチラ

https://shop.ruralnet.or.jp/b_no=01_54019214/

以下の当ブログでも、この本のコトを書いている。

etsuro1.hatenablog.com

酒のコトを知りたければ、つくってみるのが一番!というコトで、若い頃はつくってみたかった。それも自分の家で。だが、ソコはいわゆるそ~ゆ~問題が絡んでくるので、ならば自家醸造本を買って読んでみるのが第一歩だろう・・・と考えたワケだ。

そして、あらゆる利酒師(ワガハイの20代の頃には、この認定制度は無かった)やソムリエが出版した本であるとか、小泉武夫先生の本を読み漁るよりも、 笹野好太郎氏のこの著作を読んでしまう方が圧倒的に早い!

というコトから、まだ入手出来るはずなので興味のある方は、探してみるコトをお勧めする。上引用先の続きもまた、名文が続くのだ。酒好きならば読んでおいた方がイイと思うけどねぇ。

 

というフリから、本日はワガハイとしては真打登場である。しかも真打の神髄だろう。

というコトです!

酒販店のご主人は「危険物が入荷しています!」と、怪しい笑顔でワガハイを迎えてくれた。たしかにこの酒を取り扱うには、何らかの危険物取扱ナンチャラの資格が必要なのかもしれない。事情を知らない人に売るのは神経をつかうだろう。

下手すればクレーム問題になる。

事情通は、そ~ゆ~コトが分かっているからトラブっても文句は言わない。むしろ喜ぶ変態かもしれん。ワガハイもどちらかと言えば変態の部類になるだろう。トラブっても・・・そりゃあ後始末が面倒だし、勿体なかったという後悔も起こるけれど、よくぞコレを売ってくれた!と、川西屋酒造店を褒めたたえるだろう。

ま、アタマおかしいと言われても仕方ないけれど。

これは普通の「隆」ではない

このお酒は、山田錦を50%精米で、しかも協会9号酵母で醸した純米吟醸酒という、王道のスペックだ。その「無濾過」を通り越した殆ど「澱」だけを一升瓶に詰めたものだ。

キチガイ・・・と言ってもいいかもしれない。

クレイジーと言うべきか?

いや、数寄者が作る数奇物と言うべきか?

酒販店からの帰り道は、慎重なクルマの運転が求められる。出来るだけ揺らさないように、煽られても動じるコトなく、静かに加速し、穏やかに減速する。そして究極の滑らかなコーナーリング・テクニックが要求される。

あたかもニトログリセリンを運搬しているかのようなイメージで・・・というのは大袈裟だけど、運転に気を遣うコトには違いない。

裏ラベル・・・ふやけて斜めってますぅ

だって・・・コレだもの

これはカルピスですかぁ?

抜栓は非常に神経を遣う。シャンパーニュを開ける方が圧倒的に気が楽だ。何故ならこの「隆」は、発酵タンクの一部がやって来たというコトだから。それに比べればシャンパーニュとかのアワアワ酒は、瓶内後発酵だからねぇ。

というコトからも、隙あらば酵母さんが活性化して旺盛な生命力をまだまだ発揮しかねないモノを、我家のテーブルで抜栓!

先ずは酒販店の指示通りに栓の上から釘を打ち込んだ。万一に備えて、我が家で一番大きなボウルを受け皿にして。

シュー!という恐ろしい音がした、と同時に瓶内の液面が上昇してくる。開けた小さな釘穴をタオルで塞ぎ、落ち着くまで様子を見る。ここまで噴出さずに順調な感じ。

次は極めてそ~~~っと、栓を開ける。やや液面は上昇したがこぼれるコトなく抜栓終了。

思えば、抜栓に釘とハンマーという工具を必要とする変な酒である。

 

で・・・いただく。

不味かろう筈はない。

というか、生酒以上の美味さ。雑味やエグ味は生酒のレベルではない。もっとインパクトが強い。だが、後引きせずに消えていくのが川西屋酒造店のお仕事の素晴らしさだ。

ナニがど~してこういう綺麗な余韻になるのか分からんが、とにかく数年ぶりのご対面となった「無濾過生おり原酒」という、超超超・・・レアなお酒だった。

というか・・・飛びぬけて美味!!

 

翌日・・・とてつもなく快腸だったコトも記しておこうと思う。乳酸菌、麹菌と酵母さん達の生命力の恩恵だろう。