我家の庭に植えたブドウの品種はマスカットベーリーAだ。生食にも醸造にも用いられ、欧州品種と米国品種の掛け合わせだ。
欧州品種には、ピノノワールやカベルネソーヴィニヨン、メルローといったワイン用ブドウの王道ともいえる品種があり、これらは日本国内でも栽培されてはいる。だが、高温多湿の環境下では栽培地が限られて、しかも雨が掛からないように設備を整えたりして手間が掛かる。
そもそも地球灼熱化現象において、欧州品種の代表的なブドウはヤバい。少々冷涼なトコロの方が栽培適地だったりするのだから。
そんな中、まだひょっとしたら日本で労して交配した品種の中には、幾らか高温化に強いモノがあるかもしれない。我家で見ていても、ピノノワールやソーヴィニヨンブランはとても生育に厳しい雰囲気が漂い始めている。特にソービニヨンブランだけど。
だからマスカットベーリーAはまだマシだと思う。登熟は毎年確実に早まっていると感じているけれど、少々ダマしながらも収穫が出来ている。今季もなんとかあと少し頑張れば美味しい収穫が得られるトコロまできた。
その後、ハクビシン被害もおさまっているし・・・というか、庭全面とブドウの袋に竹酢液でニオイ付けをし、コーヒー殻を毎日セッセと撒いているコトが効果を上げているのかもしれない。
とにかく、強いニオイを嫌うというハクビシン情報があるから、一番手っ取り早くて安価な方法を行っている。
というワケで、このところブドウ絡みのコトを続けて書いている。勿論、ワガハイはブドウを食べるコトも好きだが、ブドウの生育を見ているのも楽しいし、興味深い。庭に一本のブドウの苗を植えてから随分と年月が経ったけれど、いったい何年目になったのだろう?
ブドウの木が日常にあることが当たり前になり過ぎてしまい、もう何年経ったのかも分からなくなってしまった。そして手入れをするコトも日常化してしまい、趣味とも言えない感覚になってしまった。
ある時、初対面の方と話していた時「趣味は?」と聞かれた。そのように聞かれると、さて?なんだったっけ??ワガハイが躊躇していると隣の友人が手助けしてくれた。
「あ~~た!ブドウ栽培でしょ!!」
その時、改めてコレがワガハイの趣味なのか、と思った。だが、趣味というような感じでもなく日常に馴染んでしまっているので、ひょっとしたらワガハイは無趣味なのかもしれない、とも思った。
そりゃ、旨酒は好きだけど、マニアックにアレコレ追い求める人ほどではないと思うし。
昨日書いたように、もしもブドウの根っこから水分や栄養を貰って蝉の幼虫が育っていたとしたら・・・と、想像すると面白い。それは「カナでの婚礼」の水のようではないか?
それは拡張解釈(拡張イメージ)になるだろうが、小さな庭の中である種の循環が起きており、肉眼で捉えられないトコロで生命が育まれている。そして様々なイメージ(妄想)のネタとして、ワガハイに多くの事件を目撃させてくれている(ブルーベリーの幹に穴をあけられたり)。
これは苦難ではなく、恵みだ!
「わたしはぶどうの木」とは、うまく言ったものだ。確かにブドウの在り方はモデルとして様々なコトを学び、確認出来る。
2000年以上前にマスカットベーリーAは存在していないけれど、ブドウはブドウ。その生態の基本は変わってはいない(人間という動物も基本的にな~んも変わってないけれど)。ブドウを例えとして語られる時、ブドウを育てていれば実感を伴って伝わってくる。それは確かにブドウによって繋がっているコトだ。
だから、ブドウ栽培は趣味なのだろうか?それは趣味といえば趣味なのだが・・・わが師、のような存在でもある。
ま、庭からイロイロ学び感ずるコトが趣味?なのかなぁ。
サボテンの花は可愛いしねぇ。
明らかに趣味だったのは・・・
若い頃、時間を見つけてはオフロードバイクで山を上がって行き、鳥の鳴き声を聞くのが趣味だった。鶯が技巧を競うように囀っていたのは聞き飽きなかった。
目線を上げると遠くに相模湾が見えて、視界良好だと房総半島まで見えて・・・時折、遠く街の喧騒が混じる中、イロイロな鳥の声に聞きほれるコトが出来た。
あの頃はまだ、神奈川県内の林道は封鎖されてなかったからねぇ。随分と高いトコロ(丹沢や箱根山)まで入れたから。
ブドウをはじめとして、一見無駄なコトをイロイロしてきたが、感覚の問題としてはそ~ゆ~コトの積み上げがワガハイを作りあげてきたと思う。社会的に有益なコト以上に、無益と思えるコトの方が人間らしいナニかを内包しているような気もする。
ま、有益か無益か、なんて人間の事情での価値観に過ぎないからねぇ。人間という動物のナニガシカを求めようとすると、案外社会的にはど~でも良いコトの中に、多くのヒントが隠されているようにも思う。
独身だった20代、夏も冬も日光や阿武隈の山々に出かけたなぁ・・・老いた体力ではもう登れない、歩けないトコロを郷愁を覚えつつ読ませていただいている・・・花ワン diaryさんのムッちゃんみたいに、ワガハイもマスカットベーリーAとの思い出を積み上げている。
あ!我家のマスカットベーリーAは、家族というコトか?