ワガハイ的にはコーヒーにしても酒にしても、つまりあらゆる食材に関して、クオリティについての記述や、それぞれの生産に関わるコトの記述には興味がある。そんな趣向によって、そ~ゆ~書籍が本棚に多い。
果ては、料理関係、栽培関係のプロ用の書籍もソレなりに増えた。
結局、アマチュア向けのレシピ本では中途半端で、その料理の歴史的背景や成り立ちが分らず、ナニを基準としてその料理が出来上がってきたのかが分からないままになってしまったりする。
そりゃ、食い物なんぞ美味けりゃいいし、そして健康を損ねないようなレシピならば問題は無いけれど・・・やっぱり料理の成り立ちっていうのは気になる時があるので。
つまり、そのような話しは殆ど見られない奥山儀八郎さんの著作「日本の珈琲」ではある。だから当時、そのコーヒーの味わいがどの様なモノだったのかは分からない。もっとも昔は今のようなバリスタっていうのも無かったし、コーヒーとは苦味とえぐ味のある焦げ茶色~黒っぽい色の液体である・・・程度のコトで済んだのかもしれん。
だが、それが昭和40年代を大人として過ごした先輩諸氏に話を伺った時(みんな次の世界に旅立ってしまった人ばかりだが)、「あの頃のコーヒーの方が美味かった」と口を揃えて言うのだった・・・その時は、時代が昭和から平成に移っていくあたりのタイミングだった。
ま、それを東京銀座の昭和通りに面した喫茶ルノアールで聞いていたワケだ。
あのルノアールでは、しばしば人と待ち合わせをしたからねぇ。交差点を渡った先にサカタという現像所があって、そこで受け取ったカラーポジ(4×5サイズが多かった)を受け渡しするワケだ。電池式のビュワーを持参して、その上に出来上がったばかりのポジフィルムを載せて仕事をした。
ワガハイの領域は、かなり特殊な撮影だったし、再撮出来ない仕事も多かったので緊張の連続だった。最悪、4×5がダメでもバックアップで撮っていた6×7が使えるように・・・なんてしていたから、経費もバカにならなかったなぁ。
ハードな仕事だった。もう今では、そんな技術は必要なくなったというデジタル!
いや、ホントに「私、失敗しないので!」といった感じの職人的な仕事をしていた若い頃のワガハイだった。
おかげでルノアールのコーヒーはどれだけ飲んだかワカラン。
あ、ドトールの時もあったけど・・・新橋駅の高架下のドトールで打ち合わせをした時は、隣の席で落ち着きない素行をしていた男がいたけれど・・・その人は、だいぶ以前に書いたかもしれないが、田中康夫さんだった。アチラも編集者と待ち合わせだったみたい。
ワガハイも別の雑誌出版社の編集者と待ち合わせだったから・・・お互いの編集者同士が顔を合わせた時は知らない仲でもなかったらしく・・・ってな感じだった。
ま、アチラさんはメジャーだったし、コッチはマイナーだからねぇ。
とにかく、若い頃だから出来たハードな仕事だった。今ではもう、たとえデジタルで楽になったとは言っても、出来ましぇ~~ん!
銀座のお隣、新橋は言わずと知れたビジネス街で、コチラにも喫茶店は多かった。だが、余りにもタバコの煙が充満し過ぎていてワガハイには辛かったので、待ち合わせは避けた。だから新橋の喫茶店事情の記憶はない。
もっとも新橋といえばキーコーヒーの本拠地であり、それは今でも本社は西新橋だ(創業は横浜だけど)・・・いつの間にかキーコーヒーも大きくなった。そしてその香味には、かつてのキーコーヒーの面影は全くない。そもそも関連会社にはイタリアントマトもあるし。ま、ハッキリ言って1996年の東証二部上場のタイミング辺りから、ワガハイはキーコーヒ―の香味が合わなくなって買わなくなった。
食品関連では、その企業規模がデカくなると香味が変わり、買わなくなってしまうコトは多々あるコト。キャラバンコーヒーも、ダートコーヒーも、そうだ。
それで、まあ・・・ワガハイの趣向とは異なっているけれど、人から頂いた本だから、そういう機会でもなければ読まない世界ではある。決して自ら手にする本ではないから。
そういう機会に恵まれるというのも、コレまた福音の訪れと解釈することにしよう。そんなワケで、読み始めはつまらなかったんだが・・・まあまあ興味深い記述も見受けられる昨今となった。それで上リンク先でもやや引っかかる箇所をピックアップしてみたんだが・・・
コーヒー一杯が石鹸一個の値段!(英仏に使節 慶応元年1865年 p.193)
この金額は筆者の換算によるとあるが、だいたいそんな感じだったとしよう。
では現在、カフェに入ってブレンドコーヒーを注文すると幾らだろうか?
ドトールコーヒーではブレンドコーヒーがS¥250 M¥300 L¥350
スターバックスのサイトを調べるとドリップコーヒーは¥380~510だそうだ。
ワガハイの友人が経営するカフェでは、ブレンドコーヒーが¥680である。
さて、現在の石鹸は幾らだろうか?
牛乳石鹸 赤箱 90g 希望小売価格 税込¥110
牛乳石鹸 青箱 85g 希望小売価格 税込¥96
石鹸にもイロイロあるけれど・・・まあ、こんな感じだ。
モノの値段も変わりゆくものだけど、昨今のコーヒーは高騰していると思う。そしてこの傾向が収まる気配は全くない。安くなる要素が全く無いのだから。
せめて石鹸は価格を維持してもらいたい。普通の石鹸のお陰で、どれだけコロナ禍を潜り抜けるのに恩恵を受けたコトか。石鹸一つで公衆衛生は保たれるトコロはあるからねぇ。
そう思えば、コーヒーは所詮、嗜好品だ。あまりにも高級品になってしまえば、日常の飲み物から除外されていくだろう。そうしてカフェもまた、経営方針を転換していかなければならなくなるというコトか。
それにしても友人のカフェは¥680かぁ・・・都内値段とはいえ、ウルトラ級高品質とはいえ、ナカナカのお値段になったなぁ。