Etsuro1のブログ

関東南部で寝起きする男の戯言記録

全体と部分との関係・・・造形の問題は国政にも通ずる?

江戸朝顔

今月初旬から中旬にかけては、真昼間の最高気温が40度を超えてきた日が続いた。天気予報での気温の数字は、実際の数字よりも低くなるのは観測の条件が異なるから。

ワガハイが小学生の頃は学校の中庭に行くと百葉箱があって、それは芝生の上に設置されていた。詳細は忘れたが、ナントカ平方メートルの芝生(草地?)の中に、地上△◇センチにおける、日射を遮った状態での温度が気温・・・みたいな条件があったと思う。

最近は百葉箱なんて見かけないから、そういう設置基準のようなものが、もっと見た目は簡易な装置で満たされる観測装置があるのかもしれない。この辺は全くの不勉強なので知らんケド。

17_百葉箱の正しい使い方.pdf (japse.or.jp)

だが、とにかく気象庁発表の数字は、実感出来る数値よりも圧倒的に低い。この夏の体験した最高気温は43度だった。これはクルマの外気温計の数値だけれど。

 

そうした猛暑の最中では、流石の朝顔も元気がなかった。見るからにヘロヘロだった。やっと生きながらえているような姿だった。

もう、朝顔さんにもエアコンが必要か?と思うようだった。

このままでは、風物詩が消え去っていく。風流を解せない人が増えていく・・・。こりゃ、日本の文学のナニガシカの死を意味するだろう。

季語?ソレって、ナンですか??

 

そうやって、季節の草花を愛でる前提が失われても、知識を駆使し、言葉遊びとしての文学?は可能かもしれない。ある約束事の中で展開されるならば、そのルールを学べば良いのだから。

だが・・・品種は変わっても朝顔朝顔。その花を真夏の朝に愛でる清々しさという感情は、江戸庶民の皆さんたちと大きく変化はしていないと、ワガハイは思う。

そう!朝顔に笑みがこぼれた時、確かに感覚的には江戸の路地に咲く朝顔を愛でる人と繋がっているという感覚を、味わっていると気づく時がある。こういうリアリティは、要するに脳味噌の肥大化した人間という動物こそなせる業なのだろうが・・・

この、リアリティ(所詮、幻想かもしれんが)の共有が、様々な表現を生み出しているとも思う。ある種の伝統を重んじている表現に関してだが。

 

よく見るということ。それは美術教育での基本として語られるけれど、それは肉眼が捉える現象をしっかりと把握するだけではない。歴史的・思想的背景を踏まえて思考して咀嚼した結果もまた、よく見るというコトだ。

ま、こういう言い方になるといきなり難しくなってしまうけれど・・・

でも、もう少し付け加えると、全体と部分との関係を見るコト、モノと空間の関係を見るコト・・・そういう幾つかの要素のバランスを調整していくコトも含まれるだろう。

 

絵を描けば、ただただモチーフに似ているコトが評価されるのみにあらず。そんなコトよりも、一枚の画面と格闘する中で、一部を描き足せば他とのバランスが崩れる。そして絵の全体を見渡しながら修正を加えていくのは当たり前のコト。特に油彩はソレの自由度が高いから、一つのタッチを加えたコトから全体をいじらなければならなくなったりするし、またソレが出来る。

生まれては消えていくイメージ。だが消えていくイメージも無ければ次のイメージは生まれない・・・その繰り返しをよく見ていく。

そして何処かでタイミングが訪れる。

この辺で決着を付けないと、あとは世界(画面)が崩壊していくだけだ。

そういうコトを下手なりに体験していると、やはり絵画を鑑賞した時の見え方は大きく変わる。

この作家はこの一点を作りあげるのに、どの様な時間を体験したのだろうか?

その作家の脳内を探るように絵筆のタッチを追いかけ、筆致の隙間から下塗りの色を推測し、己の脳内で再構築を試みる・・・勿論、相手の方が圧倒的に技巧が上だから太刀打ち出来はしないけれど。

 

残念ながら・・・日本の美術教育では大切な問題が失われてしまった。これは初等教育のコトは置いておくとして大学教育に関して。

全然、西欧絵画の底流が抜け落ちているではないか!

いや・・・まともに印象派(フォービスムやシュルレアリスムも)にさえ、向き合ってはいないように感じられる。

いったい、植村鷹千代や福沢一郎が伝えたコトは、ど~~なってしまったのだろう?その時代までは、辛うじて温存されていたようにも思えるのだけど。

www.tobunken.go.jp

www.tobunken.go.jp

朝顔の清々しさにココロ洗われつつも、一気に疑問が噴出するのだった。

 

※ コレ、国政だって同じだろう?と政治家に言いたい。造形教育の基本はモノ作りの基本だから、国づくりにも同じコトが言えるのでは?だから、モノ作りには学ぶべきコトが沢山あるのだ。そういう点から、もっと美術教育を見直してもイイんじゃね?単にお絵描きが上手・・・ってなコトだけではないだろう。

 

トコロで、余りにもシブい下リンク先の展覧会期も残り少なくなってきたけれど・・・どんな感じかねぇ?ワガハイは体調の都合で行けないけれど。

www.setagayaartmuseum.or.jp