Etsuro1のブログ

関東南部で寝起きする男の戯言記録

「北島 山田錦 純米 直汲み無濾過生原酒」

北島 山田錦 純米 直汲み無濾過生原酒

微炭酸。普通の一升瓶の栓が使われていて、それで充分な程度の微炭酸。抜栓時にスポン!とかプシュッ!とか音を立てる程でもない微炭酸。口に含むと心地よい本当に僅かな微炭酸。

抜栓一日目は、この極々微炭酸の口当たりに魅了された。

裏ラベル

裏ラベルに書かれているように、王道の山田9号の組み合わせだ。酸度2.0と表記されているように酸はしっかりとあるのだが、カドのとれた柔和な酸。酸が苦手な方でも大丈夫なのではないだろうか?やはり7号系よりもカドが丸くなる9号の酸は、比べてしまえばワガハイは7号好みだ。

もっとも、酵母だけで香味が決まるワケではないし、その要因は非常に複雑なのは言うまでもない。だが、何故9号系の酵母は柔和な傾向が強く感じられるのだろうか?やはりカプロン酸だろうか?

総じてカプロン酸が甘さを感じさせる傾向に、香味を振るように思う。この北島も、甘く感じるワケではないものの、日本酒度+8より低めに感じてしまう。熊本酵母使用だった以下リンク先の「隆」に関しても同じように感じた。コレは、7号系酵母好きの感想だ。

etsuro1.hatenablog.com

この「北島」は山田錦精米歩合65%であり、「隆」は若水の55%である。王道の山田9号と若水熊本の呑み比べ・・・本当に2本同時に抜栓してやってみたら面白いだろうなぁ。

 

「北島」の拘りなんだろうが、協会901号酵母ではなく、協会9号を使用している。これは701を使うか7を使うか?というコトにも通ずると思うのだが、同じ蔵で造りの条件を合わせて醸したものを比較出来るワケでもないが、傾向として901や701といった泡無し酵母よりも、泡有り?酵母の方がスカッ!とした呑み味のような気がする。

 

まあ、とやかく言ってもワガハイが醸造出来るワケではないからねぇ。

 

「北島」は四日間かけて呑んだ。二日目からは微炭酸も消えていくのだが、だからといって飲み心地が重くなることもなく、適当な空気酸化を受けて香味が開くもののカプロン酸系の派手な香味がプンプンすることもなく、含香になんとなくカプロン酸タッチがある程度だった。これはワガハイ的には有り難い。

カプロン酸がプンプン立っている酒は苦手だから。

フルーティーな香りって言ったって、やっぱり発酵臭であり、なんか妖艶というか妖気漂うというか、怪しい雰囲気の香りなんだよなぁ・・・と。コレは昭和平成の吟醸酒ブームが起きた頃の、立香だらけの吟醸酒に閉口していたからだ。

フルーティーという酒の表現に、ひときわ警戒心をいだく切っ掛けになったのは「美山錦&アルプス酵母」の、これまたある意味王道かつ鉄板の組み合わせだったなぁ。それは、なんで日本酒呑んで、過熟なアルコール入りパイナップルジュースを呑んでいるのだろう?と錯覚しなければならなかったのだろう?食事とハレーションを起こす香味だった。

そういう経験を通して、あの時ほど香りが立っている酒も無くなったと思う。

やっぱり日本酒には、適度な静けさが欲しい。沈黙まで行くコトはないし、静寂とまでも言わないケド・・・落ち着きと静けさを感ずる香味を求めたい。そういう観点からしても、この「北島」には目を見張る、香味感性が覚醒するような味わいがありながらも冷静さを感じた。

いい酒だなぁ・・・でも、やっぱり7号系の方が好きだけど。

でも、また購入するかもしれない。