Etsuro1のブログ

関東南部で寝起きする四捨五入して還暦男の、適当な言語の羅列記録・自称乱学者

「相模灘 特別純米 無濾過生酒」香味変化はバランスが崩れることなく澄んだ雰囲気

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相模灘 特別純米 無濾過生酒

一年ぶりとなる「相模灘 特別純米 無濾過生酒」だ。これを楽しんだのは先々週で、まだプーチンの暴挙が潜伏期間だった頃なので、ワガハイが、今よりは脳天気度が高く、幾らか幸せな頃の味わいの話となる。

昨年の「相模灘 特別純米 無濾過生酒」については以下リンク先をご覧くだされ!

etsuro1.hatenablog.com

昨年(上リンク先)は、〈米麹というものがとても果物的なものとしてあるように思いましたな〉と書いた。本日はその続きを少し書いてみようと思う。

日本酒の主原料である米は、光合成で得た低分子量の糖分をデンプンで蓄積したものだ。デンプン以外にもタンパク質や脂質も蓄積するが、酒造で使いたいところはデンプンの酒造に好都合な部分だ。その好都合な部分が米の周辺部を削って(精米)得た中心部である。そうした飯米に比べて高精白米である米を蒸して麹をつくるのだが、麹菌の作用はデンプンを分解して二糖類や単糖類にするコトだ。デンプンでは酵母が活動し辛いからねぇ。

つまり、単純に言ってしまえば麹室では米を果実の状態に仕上げているという作業が行われている、ようなものだ。

もっと言えば、日本酒造りで行われる麹つくりっていうのは、ワイン造りで言えば畑仕事にあたるワケだ。葡萄畑では天候を見ながら新梢の伸びを調整し、剪定し、摘粒し、果汁糖度と酸度を目標に合わせていき、タイミングを見て収穫するわけだ。

日本酒では麹室、ワインでは畑仕事、そういう関係が見えてくる。

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ココロ踊る「無濾過生酒」!

糖度は酵母の活動によってアルコールに変わる。発酵タンクの中では、速醸モトなら添加乳酸、生モト山廃系なら乳酸菌による生成乳酸が醪を酸性にして、雑菌の繁殖を抑制して酵母の活動を支えてくれる。都合のイイことにアルコール発酵に適した酵母は、酸性環境で活動出来るんだな。

酵母っていうのも余りにもひとくくりの言葉で、良好なアルコール発酵を行う酵母ばかりではないからねぇ。そういう酵母の選別っていうのもあって、酒造りのスタートっていうのは「甘酸っぱい」っていうトコロから始まるのは日本酒もワインも同じだ。

ワインは葡萄の酸味があるからねぇ・・・その酸を利用するワケだな。まあ、ワイン造りには補糖、補酸を行う場合もあるケドね。ま、ココでは一応原理的な話にしておく。

甘酸っぱい・・・それはアルコール発酵の始まりの条件である!

そういうコトなんだな。

 

さて、今期の「相模灘 特別純米 無濾過生酒」はどうだったか?というと、極めて簡単なコメントで澄んでしまう。

相変わらず以上に美味かった!

と、そういうコトなんである。もう、アレコレ説明するまでもないわなぁ、と思う。だが、なんとかもう少しメモ書きとして頑張ってみよう。

昨年の記憶と比較すると、香味には微妙な差異がある。それはその年の米の出来にも左右されるだろうし(蒸米の加減に影響するだろう)、まあ・・・酒造用水や蔵環境の差に関しては誤差中の誤差として置いておくとして・・・やっぱり造り手の感性や研鑽の積上げっていうのが大きいだろう。やっぱり今季の造りに対しての目標っていうのはあるだろうからなぁ。

抜栓直後・・・昨年よりも僅かに苦味がある。これがテースティングの印象だった。それはより引き締まった香味を生み出したと思った。油彩画ならば地塗りした上に描かれた色彩・・・そんな例えだろうか。だが、地塗りと上塗りの色彩は補色まではかけ離れてはいない感じかな?

僅かなスミ(炭素濾過の意味ではないからねぇ)・・・そう感じたのは抜栓30分後あたりだっただろうか、繊維の染めでは、どんなに鮮やかに染めた布でも、染料に僅かなスミ(黒)を混ぜるのだそうだ。そしてその混ぜ加減が・・・まあ、いろいろ布地の表情を作り出すそうだ。そういうイメージを感じながら呑んでいた。

一升瓶を4日間かけて空にしたんだが、その香味変化はバランスが崩れることなく澄んだ雰囲気に落ち着いていった。新酒だけに僅かに残留する炭酸分が、苦味やエグ味、辛味を生じさせるコトもあるが、ワガハイが「僅かなスミ」と感じたソレは、どうやら炭酸分由来のモノでは無さそうだった。終始、香味に僅かな陰影を与えて呑み飽きといった舌がダレるようなコトを抑制してくれた。

これは、火入れ酒の「相模灘 特別純米」が楽しみだ。それはきっと燗酒でも面白いコトになってくるんじゃなかろうか?と期待してしまうのだ。