Etsuro1のブログ

関東南部で寝起きする四捨五入して還暦男の、適当な言語の羅列記録・自称乱学者

思い出の青学のオルガンを語るババアを思い出す・・・散りゆく藤は新しい始まり

青山学院大学に所用で伺ったことがあった。学内の彼方此方に「地の塩、世の光」という言葉が掲示されていた。それまであまり意識していなかったがミッション系だったんだね。ま、「学院」だからな。はじまりが米国メソジスト教会に関わるな。

 

既に天に旅立たれたジジイとババアから聞いた話だが、戦時下では空襲で校舎設備の大半が焼失して、ほぼ学校としては絶望的な状態に見えたらしい。だが、空襲を免れたパイプオルガンがあったらしく、東京音楽学校を卒業していた・・・と思うんだが、ババアは青学のオルガンを借りて練習したこともあったらしい。そして、戦後間もなくヘンデルメサイアの演奏会を青学で行なったらしい。好評だった演奏会を終えての記念写真を見せてもらったことがあったな。

「さあ、私はどこに写っているでしょう?」

ババアはワガハイを試すようにその写真を見せたね。ぜ~んぜん分からなかったな。ババアはテーブルを叩いて、

「失礼な!」

と強い口調で言った。

「こんな私も乙女だった時代があったのよぉ~。ああ・・・」

顎まわりの皺などいじりつつ、集合写真の右端に楽譜を抱いて写っている背の高い乙女を指さした。全く面影など無かった・・・

「あ~あ、変わり果てたんだねぇ~」

と言ったワガハイに、

「その通りなのよぉ~!」と言って笑ったな。

小さな演奏会だったので公式記録的には見過ごされているかもしれないが、多分、戦後最も早くに行なわれた「メサイア」だったのではないか?と、ババアは語っていたな。

「出来ればもう一度、青学のあのオルガンを弾いてみたいわぁ~。まだ残っているのかしら?」

とババアは言っていたが、どうなんでしょうね?思い出のオルガンだったんだねぇ。

ババアが口酸っぱく言い続けたことは「よ~く聴きなさい」「聴くこと!」だった。確かに「左手を聴きなさい」という指導内容に関しては、ナルホドといまだに思い出して感心しますな。ワガハイが、

「イエスさんのパートはヘ音記号で書かれている、とでも言っているみたいですな。」

と言うと、目玉をグルグルと回して涙ながしながら感動しておった。どうやら図星だったらしい。音楽や造形美術では、この左手の問題は未だ有効な筈だが、随分と古い言葉になってしまったのかもしれず、忘れられつつあるようにも思いますな。

ま、それもまた時の流れよなぁ・・・

 

青学のHPを見ると「基督教学科」は1960年で終わっておる。その後「神学科」になるが1977年で終わっておる。まあ、その辺りで何らかの節目のようなものは感じますな。CollegeからUniversityへと展開していくんだろうと沿革を見ていると思いますな。そしてHPにおいても至る所に聖書引用がちりばめられておる。立教大学(はじまりが米国聖公会)のHPと比較しても圧倒的に多いみたいですな。まあ、青学も立教も出自はほぼ同じですな。ここで上智を持ち出すと複雑になるからやめておくけど、明治は今より余程キリスト教の理解が浸透していた・・・かもしれない。それは間違いなく現状の日本のあり方に大きな影響を与えているでしょうな。

で、冒頭の「地の塩、世の光」だ。マタイによる福音書 5章13~16節の有名な箇所のことだ。その青学的解釈は、青学のHPを見ればいいんだが、ワガハイ的な解釈は・・・

 

自分らしさを見つけて、貴方の個性を失うな。

人の個性を尊重し、それぞれの持ち味を生かすことを考えろ。

塩が塩辛く無くなったら意味がないように、貴方らしさが無くなったら、それは意味がない。これからの世の中ならばAiに置き換えれば良いことだ。

 

まあ、そんな感じに受け止めていますな。

しかしながら・・・青学に行った時、門を入ればデカデカとその言葉が掲示されていて、掲示板にもあり、トイレに入ってもあり・・・この言葉の掲示に囲まれて、何処を見ても目に入ってくるというのは?

ナンダカ カガミバリ ノ ヘヤ ニ イレラレテ

アブラアセ カク ガマガエル ノ シンキョウ ヲ 

オモイマシタ ナ

 

変異ウイルスのお陰でまた対面授業が出来なくなることに、イライラしている学生の皆さんが、個性を失わずに増強されていくことが出来ますように。生きていりゃあ、いろいろあるさ。若くても罹患すると大変な人も居るみたいだから、貴方の大切な個性を失わないように。そんな励みに「地の塩、世の光」という言葉は受け取れないだろうか?

ババアがメサイアの楽譜を抱いて、ハレバレとした顔で写っていた写真・・・あのババアが抜けてきた戦禍を思えば、そのうちハレバレとした写真が撮れる日も来るさ!

 

※ 青学HPの「教育方針・理念・スクールモットー」を見ると、失礼ながら笑ってしまうほど教育方針の文字級数がデカイ!そしてスクールモットーに「地の塩、世の光」についての解説がある。そりゃあまあ、そういうことですわな。

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早朝の風で散る藤の花

散りつつある藤、そうしてまた新しい藤の一年が始まりますな。まるで古い衣を脱ぎ捨てるかのようにね・・・