Etsuro1のブログ

関東南部で寝起きする男の戯言記録

杉錦の新酒 「にごり」を漆器の猪口で呑む

杉錦の新酒 「にごり」と漆器の猪口

昨日は輪島塗のコトについて触れた。

だが、漆についてよく知らない人も多いのかなぁ?日常の食器に漆のモノを使ってない人も多いのだろうなぁ、と、昨晩は杉錦の新酒を呑みながら思っていた。

 

漆は天然樹脂だから、それが乾くというのは・・・正確に言えば硬化するコトを意味するけれど、それは酸化重合反応だ。というコトで、油絵具が乾燥する意味合いとよく似ている。

まあ、油絵具を使うという経験もまた、あまり一般的ではないだろうが、漆よりは触れる機会も多かろう。漆に比べれば圧倒的にかぶれる人も少ないだろうから。

それで、油絵具に似たもので、アクリル絵具がある。厳密に言えば全くの別物だが、特にリキテックスなんていうアクリル絵具は、油絵に似せた使い方が出来るという謳い文句で昔は売られていたと記憶している。

しかも油絵具に比べて圧倒的に速乾だ!効率的に描ける。水で薄められる点も楽だ。一部では油絵具にとって脅威と言われたコトもあった。だが、直ぐに弱点が露呈した。アクリル樹脂はアクリル樹脂の天命を全うするのだ。そういう運命を背負っているのだ。案外、長期保存には留意する必要がある。

そして技法の問題としては、速乾だから扱いやすいとは言えない。油彩画は、キャンバス上で乾きが遅い絵具を用いて、グネグネ、ヌチャヌチャ、ヨレヨレやりながらナニガシカを形作っていく描画法という面がある。アクリル絵具では速乾ゆえにそういう方法が行えない。勿論、乾燥を遅らせるメディウムもあるけれど・・・ソレを混ぜると何か、色のパワーというか量感が痩せるんだよなぁ。

というワケで、油絵具は乾燥(硬化)しても絵の痩せ感がない。それが未だに油彩画が滅びない一因となっているだろう。コレは表現の問題だけに、譲れない表現者にとっては譲れないだろう。

 

合成漆器なるヘンテコにして安価な漆器?もありはするだろうが・・・それは置いておくとして、天然自然の材料から作り出す漆器の魅力って、効率や能率では語れない。手に持った時や口にあてた時の感触という、他では代替出来ない感覚的・感性的な問題だ。

ナチュラリストミニマリストという志向の方なら尚更、吟味した一品の所有は如何だろうか?

 

本日は漆について少し書いた。普通の説明とは違った感じで書いたけれど・・・

漆は天然樹脂であり、乾くというのは硬化を意味し、酸化重合反応だというコト、そして油絵具との共通点にも触れた。

漆の用途は食器ばかりではないけれど、汁椀、或いは一膳の箸など、お気に入りの一点を所有されるコトをお勧めする。派手な加飾が無く、蓋つきでなければ、それ程高額なものではない中に良き出会いがあると思う。そしてそのようなシンプルな器の方が、長く飽きずに使い込める可能性も高いだろう。

 

ワガハイの宝は上画像の猪口。当ブログでたぶん二回目の登場となる、小森邦衛さんの猪口だ。当然ながら陶磁器製の猪口に比べると恐ろしく軽い。そして小振りな猪口だが意外と内容積はある。外見には上品に少量の酒を楽しんでいる様に見せて、実は案外注げるようになっている。小森さんの人柄があらわれた猪口だなぁ~。

能登が復興してきたら輪島に行きたいねぇ。

 

あ!杉錦の新酒だけど、これは多くを語る必要もない。+11という日本酒度のにごり酒というだけで見当が付くとは思う。「にごり」に期待するナニかが裏切られて、目覚めるような香味世界が待っている。これまた杉井さんの人柄が出ているなぁ・・・と、ニタニタしてしまうのだった。