お久し振りの「鷹勇」だった。大谷酒造(株)は鳥取県東伯郡にある酒蔵で、ワガハイ的にはかつて「日置桜」を訪ねた際に、ここも訪れようと思っていたんだが・・・日置桜と、その先にある「あおや和紙工房」で時間切れとなり、断念した経緯がある。
因州和紙を買いに行ったからねぇ。
「鷹勇」は、琴浦町役場に近いトコロにあった。夕方、宿へ急ぎつつもせめて蔵の環境だけは見ておきたいと思って路地に入り、クルマで酒蔵の前を通過した・・・それだけだった残念な記憶がある。
はじめて「鷹勇」を呑んだのは、1990年代だった。だから坂本俊杜氏の時だった。それはとても硬い印象の強い酒だった。とにかく抜栓直後は香味が全く開かなかったので、徳利に移し替えた方が賢明だった。そして備前に行った時に買った徳利(以下リンク先)が、香味にとても良い効果を与えた。
あの頃は、硬い硬いと言いながらも、随分と頻繁に「鷹勇」を呑んだ。「日置桜」とともに、鳥取の酒にハマっていた。特に酒米の「玉栄」で醸した酒にハマっていた。ワガハイの地元、「丹沢山」も硬い酒だが、「鷹勇」はそれ以上に硬かった。
今回、ホントウにお久し振りに「鷹勇」を購入したが、それは単に売っている酒販店が少ないからだ。もっと入手が容易ならば頻繁に購入することになるだろう。で、とにかく呑んでみたんだが、抜栓直後は猛烈に硬くて???であった。
生酛でありながら、生酛としての酸が感じられず、むしろ苦味やエグ味でドライに辛く攻める酒といった印象だった。それはソレとして、嫌味なエグ味ではなかったのでアリだなぁ・・・と楽しめたが、だがしかし!せっかくだからもう少し柔和な味わいも欲しくなる。
抜栓二日目・・・なんか、少し酸が顔を出し始めた。イイ感じの質の酸と思われたが弱い。そしてエグ味が少し和らいでいた。それは好ましい傾向の変化だった。ただ、このお酒は酸で切っていく辛口酒ではないと思われた。そのあたりが「丹沢山」とは異なっている。
三日目・・・いい感じになってきた。相変わらず硬い印象は拭えない。ゴリゴリ感はある。だが、これはコレとして、このお酒の特徴なんであって尊重すべきキャラであった。
四日目・・・美酒に化けた!そして一升瓶は空になった。
抜栓三日目あたりから本番に突入する点は、「丹沢山」と同じだが・・・決定的に違ったのは熱燗適性だ。この「鷹勇」は熱燗には向かなかった。もっとも熱燗でも不味くはないけれど、このお酒の良さが薄らいでしまうように感じた。つまりカドが外れすぎてしまう。
風呂の温度程度に抑えておくのが、燗酒としてはイイ感じと思った。
製造年月(蔵出し)が2023年5月と、裏ラベルにはあるが、実際の酒造年度は不明。酒の僅かな着色状態からすると、BY2022ではないような気もした。つまり数年は蔵内で寝かされているかもしれない。
だが、硬い!
これは、数本購入しておいて、自宅で定温保管してみるとイイのだろう。だが、一升瓶を長期保管するって・・・普通の家では無理だわなぁ。場所がない。