Etsuro1のブログ

関東南部で寝起きする男の戯言記録

「山廃純米酒 凛峰 丹澤山 備前雄町 火入」

山廃純米酒 凛峰 丹澤山

毎日PCの電源を入れる。そしてメールチェックをしてMicrosoft Edgeを立ち上げる。そしてそこに並ぶニュースをザックリと眺める。このところブログで、エノテカの扱うワインを書いたため、少々エノテカのサイトを見た。そのためにエノテカの広告が多く入っている。

まあ・・・通販でワインを買うなら寒くなってからだ。暑い季節に買うならば、クール便を指定しなければならない。まだ、通販でワインを購入するのは早い。そう考える。

だが、もう少し考えてみるとナニをやっても無駄だと気づく。心あるワイン取り扱い業者ならば、その保管には最低限の配慮はされていると思う。そしてコストとの相談ながらも、梱包にも配慮される。しかし、荷役では温度管理が出来る筈もなく、振動を最小限に抑える努力を求めるのも無理だ。せいぜいコワレモノ扱いが限度だ。

トラックの荷室では、クール便としての扱いは受けるものの、それはハムやソーセージの扱いと変わるトコロはないだろう。精密なコトを言いだせば、ワインの輸送にはニトログリセリンの運搬と同程度の精緻さが要求される。

いや、少なくとも玉子の運搬と同程度には注意を払ってもらいたい。

とにかく、振動を与えていいコトは何一つない。

というワケで、ワガハイは勝沼に行ってワインを購入すると、車内では絶対に縦置き。そして夏場はエアコン強め。運転は穏やかに。そうして移動してきたワインは、宅配業者が運んできたものに比べて香味の荒れ具合は少ない。

 

かつて、日本酒も移動すると荒れた。かつてとは・・・2000年前半は概ねそういう感じだった。だがいつしか、振動の影響は少なくなった。そりゃあ、強烈にシェイクし続けたらダメだとは思うが、都内で購入してブラブラ持ち帰り、直ぐに抜栓しても困ったコトにはならなくなった。

その理由は分からない。素人には分からない。たぶん、酒蔵に聞けば正解が聞き出せるかもしれないけれど、余程の暇を持て余した会話の中でなければ聞くこともないだろう、という内容だ。

それに、理由はだいたい想像はつく。要するにろ過工程のナニかが変わったのだろう。それは「無濾過生原酒」を呑めばわかる。コレは相変わらず、購入してきたその日は若干だが酒質が荒れる。

だが、その「無濾過生原酒」でも、以前より酒質の安定は早いように感ずる。その理由は分からない。酒造全体の技術的な洗練度が高まったから・・・というコトなのかもしれない。

 

酒の移動による一時的な香味変化が大きいモノと少ないモノというのはあった。そして昔の話だが、「丹沢山」「隆」を醸す川西屋酒造店の酒は、割と移動による香味変化が大きい部類だった。だが、今ではそういうコトはあまり神経質になる必要がなくなった。そしてその結果、酒がつまらなくなったというコトはなく、香味自体が犠牲になっているワケではない。

とにかく、昔は買ってくると一週間程度は静置して、それから抜栓した日本酒だ。でも、今では直ぐに抜栓して楽しんでいる。

裏ラベル

「雄町」という酒米が用いられているこのお酒は、米の違いによる香味の個性を重んずる川西屋さんのお仕事ゆえに、「雄町」らしさが溢れている。

そして川西屋さんの酒らしく、抜栓直後の香味は硬い。

というコトから、初手の印象は飲みやすい、口当たりの良い酒ではない。別に不快感があるワケではない。品質にケチつけるような点は一切ない。

だが・・・ナニかが欠落しているような、物足りなさを感ずる香味だ。

そしてそれはマイドのコトでもある。特に「雄町」で顕著になるだけのコトだ。要は、酸が開かないので、重く感じてしまうのだ。

デキャンタージュ・・・

急ぐならば、やった方がイイ。

急がないならば、ゆっくりと待てばよい。

例によって、抜栓翌日からが本番である。キレが出てきて重さが消える。だから4~5日かけて香味の変化を楽しむためには、一升瓶で購入したほうがいい。

 

以前にも書いた通り、この山廃は、山廃というステレオタイプを求めてはいけない。たぶん、山廃という技法を用いる意味合いが違うのだ。一瞬、速醸酛との酸の違いに大差ないのではないか?と、感じてしまう人もおられるだろう。そういう山廃酒だ。

だが、抜栓翌日に化けの皮が剥がれる。山廃酛だろうが速醸酛だろうが、川西屋さんが求める酒の中の酸のバランスを確保するために、山廃酛の酸が必要だったというコト。それもあからさまな山廃の酸ではなく、微妙に表情の乗る酸。

この酸の具合が、速醸酛での「雄町」酒に感ずる物足りなさを補ってくれる。この不足感を満たすための山廃仕込という技法の選択なのではないか?と思う。

 

だから、大々的に山廃にまとわりついた特徴を押し出している酒ではない。ひょっとすると、誤解を招きやすいかもしれない美酒だと、ワガハイは思った。

 

燗上がりは、言うまでもなく素晴らしかった。