はじめに・・・この前まで使っていたPCでは「生酛」と漢字変換すると、酛という文字は「環境依存文字」と注が付いた。少し前にPCを新しくしたが、そういう注は付かなくなった。
ま、今回はATOKを入れてないから、そういった注が付かなくなっただけ・・・かもしれない。
だが、いろいろ酒に関するサイトなどを見ていると普通に「生酛」という文字は使われていたりするので、概ね問題ないのかもしれない。今までは「生モト」と書いていたが、今回は「生酛」を漢字表記しようと思う。
「生酛」というだけで充分な殺し文句だ。さらに加えて「生原酒」である。このふたつの言葉が一升瓶の首に貼られているのを目撃してしまったら、選択に悩みはない。買うだけだ!
悩んだところでど~せ買うんである!
買わなかったところで後悔するだけである。
買える値段ならば、買っておくのが精神衛生上よろしい。
それだけだ。
酒販店の冷蔵庫のガラス扉越しに「生酛生原酒」のラベルを見て、おもむろに扉を開けて一升瓶を手にする。そして裏ラベルをチェックする。いつも通りの手順だ。
無濾過生原酒 生酛
老眼でもしっかりと目に留まる止めの一撃!
この時点で魂は抜かれた。まるで夢遊病者のようにレジ前に進む。
阿波山田錦70
あわやまだにしき・・・あわわ、あわわわだにヒヒ・・・
あわあわわひひヒヒ・・・
もう、呑まなくてもその香味に浸っている。
無条件反射!
なんとか正気を取り戻してクルマの運転席に座った。こういう時は、いつも以上に慎重に運転すると、かえって事故るもんであるから、意識せずに運転する。ただし寄り道はしない。
そう、とらわれるとハマるんである!
昔々、先輩がスズキのカタナ(バイク)に乗って最強を豪語していたが、彼曰く・・・
「ちょっとオーバースピードで突っ込んで、クリッピングで寄せきれずにクラッシュパッドを見そうになっちまったんだ。だから思いっきりコーナー出口に顔を向けて耐えたんだぜ!」
これ、サーキットでの話。特に四輪以上に二輪は視線の向きの影響をモロに受けるから、見たトコロに突っ込んでいくってなもんだ。
で・・・
見ちゃったから!
「生酛生原酒」
突っ込んじゃったんだな。
まあ・・・確かに見なければ知ることも無いんだから、関わるコトもない、というワケだ。
ナルホド、酒の購入に関しても、ライディングにかかわるコトがあるんだなぁ。世の中のあらゆるコトが関連しているというワケだ。
さて、肝心のお酒はどうだったか?というと、それは川西屋酒造店のお仕事の常!抜栓直後は香味が硬い。そしてこの「生酛生原酒」は通常のお仕事に加えて硬かった。
新酒感のかたまり‼
事情通でなければ少々つらいと感ずるかもしれない硬さの香味に、
痺れるねぇ~~
なんてニンマリするのは、どこかが壊れているのかもしれない。だが、まるで酒蔵内で賞味しているような感触で嬉しくないワケがない。
四日かけて一升瓶を呑み終えたが、マイドながら二日目からパフォーマンスを発揮した。ということは、ワインのようにデキャンタージュをお勧めする。ワガハイも、一日目はマイドの手順で白磁蛇の目の利き猪口を使ってテースティングを兼ねたが、二日目からはボルドーワイングラスを用いた。
生酒なので品温は低め。冷蔵保管が鉄則だからね。
精米歩合70%のボディは存在するが、スパっ!と切れよいマイドの丹澤山の香味バランスに、気づくとそれなりの量を消費してしまっている。
もはや呑みすぎ注意のレベルではなく、呑みすぎ確実である!
神奈川県にはねぇ・・・丹沢山ってのがあって、そこにハマると逃げ出すのが困難な沼があるのよ!それがまた透明度の高い綺麗な沼でねぇ・・・ヤバいのよ!
注:「生酛生原酒」だから美味いというワケではない。その言葉につられてトンデモない四合瓶を購入してはいけない。あくまでも信頼できる酒蔵のお仕事を選ばないとねぇ。生酒だけに製造はよりシビアだ。