Etsuro1のブログ

関東南部で寝起きする男の戯言記録

「丹沢山」・・・足柄若水 六十 熟成山廃 2011年度醸造

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この栓を幾つ開けてきただろう・・・丹沢の酒

「東京都の小池知事が過労で休養」ということについて、先ずはしっかりと健康状態の回復を祈る。政治家なので、そのスタンスに関してもいろいろあるが、とにかく休養は大切だ。ほとんど休みなしで働き続けていたということだからなぁ・・・。

ワガハイのような虚弱体質な人間には考えられない程にタフな方達は多いのだが、その中でもど~なっちゃってるんだ?と半ば恐れさえ抱きかけていた人の一人である小池知事である。ナンダカ変な言い方なんだが、ちょっと安心した面もある(こう言ってはなんだが、安倍前首相の時はそういう心情にはならなかった)

小池知事のペットロスというコトが伝わったが、これがワガハイは嫌でねぇ・・・知人宅の犬や猫にちょっかい出して遊ぶっていうのがちょうど良いところだ。その犬猫が亡くなった場合でも、ロス感はくるからねぇ・・・。

 

さあて、ここからが不謹慎な書き方になるかもしれない。なにせコロナ禍において何かとやり玉にあげられる飲酒のコトだからだ。もっとも、昔から飲酒喫煙というのは叩かれる代表的対象だが。

ワガハイの飲酒がドクター・ストップとなったとしたら・・・だが、それは人生に於いていずれは身に起こる悲劇である。どのみち最後は呑めなくなる。その時、お酒ロスというか、アルコール・ロスというか・・・そういった感情は起こるのだろうか?

もう少し精密に考えると、毎年記録更新が続く日本酒の香味である。この記録更新に接するという楽しみは、ワガハイにとっては、ハッキリ言ってスポーツの記録更新よりも興味ある出来事なのだ。この楽しみが享受出来なくなるということは、果たして諦めきれるコトなのだろうか?

ドクター・ストップというのは、生命存続という大前提において究極のフル・ブレーキングである(国の存続という大前提において、五輪について既にドクター・ストップは掛かったはずなんだが)。受け入れざるを得ない。フツウの神経の持ち主ならば、死に急ぐということは出来ないものだ。という、究極に近い条件において

「それで飲酒を諦めるなんていうのは、本当の酒好きではない。」

といったコトを言っていた人が、かつておられた。流石にぶっ倒れて救急車で搬送され、生死を彷徨い生還した後は、暫くは禁酒していた。

「おかしいんだなぁ・・・オレは酒を愛しているんだが体が受け付けないんだ。ココロとカラダが一体になってないんだなぁ・・・」

ってなコトを語っていた。ところが後日、彼は隠れて飲み始めたらしい・・・たぶん、ココロとカラダが一体になったんだろう・・・か?そしてまもなく旅立たれた。まあ、彼は自分でアル中って言っていたし、酒の味は分からんからなんでもいい、と言っていた。ただ、現役時代は国税庁勤務だったらしく、ワガハイがたぶん目を輝かせて

醸造試験場ですかぁ?」

なんて質問してしまったからなぁ・・・それ以来、お会いすると頻繁に話をするようになった。残念ながら醸造試験場ではなかった。それはご当人も残念だったそうだ。だが、

「オレは利酒なんで出来ねぇからよ。オレが技官だったらひでぇ酒が出来ちゃう酵母とか培養しちまうぞ。ソロバンの方でヨカッタんだが・・・醸造試験場は憧れだな。」

と語っていた。もう彼とはお会い出来ないと時々思い出して、酔っ払い知人ロスというのもあるな。

 

と、しみじみとした内容で終えようかとも思ったんだが、知人の知人に困ったチャンがいて、ワガハイは数回お目に掛かったコトがある人だ。某居酒屋の常連だった彼は、ある日とてつもなく上機嫌で、店のカラオケで吉田拓郎のナニかを歌った後で突如、服を脱ぎ始め・・・で、まあ・・・そういうコトですな、暑かったんでしょうな・・・カウンターの上に立つと、そこで踊り出してしまったらしい。

結論・・・彼は、そのお店から永久出禁!というコトになったらしい。その後、出禁を解除してくれたのかどうかはワカラン。

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ホワイトバランスは合わせてあるので・・・酒の色は参考になるだろう

※ただし、液晶モニターのカラーマネージメント(sRGB) が採れていればの話

本日の本題は川西屋酒造店のお仕事・・・「丹沢山」の長期熟成酒である。

これはもう、素晴らしいわけで、熟成といいながらまだまだ熟成に耐えられる若さも維持している。抜栓直後はなかなか目覚めない香味で、長い眠りについていた酒をソ~ッと起こしていくつもりで味わう。室温で・・・だが若干、品温は下がるので20度程度で味わう。老香というものは特に目立たない。まあ、低温管理下で熟成された酒なのだろう。ワインセラーよりも低い温度帯での熟成だろう。

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足柄若水 六十 熟成山廃 二〇一一年度醸造

山廃としては相当に綺麗なクセの少ない造りのように感じた。これでは、別に速醸と大差ないのでは?と思う方もおられるかもしれない。だが、香味がユックリと開いてくると、やはり酸の表情の多様性は山廃だ。しかも綺麗で穏やかな酸だ(これ見よがしの山廃感は演出されていない、蔵のテロワールに忠実な造りとみた)。一日目はあまり多く呑まないようにして、翌日まで室温保管とした。

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山廃純米酒 丹沢山

抜栓後二日目・・・スッキリとした傾向の香味ながら、もう一つキレが上がりそうなんだが・・・やや輪郭が甘い感じがする。そこで燗酒とする。

先ずは燗酒30℃・・・見事な燗上がり傾向で、口に入れた瞬間に襟首ただすような感覚を覚えた。おおっ!って目覚めるような感じだ。

燗酒40℃・・・丹沢山の燗酒といったら「麗峰」が代表であり、それは蔵元が明記する以上に凄いと思っていたが、この熟成山廃の香味は、その上空を飛んでいく。

燗酒50℃・・・この温度帯まで燗つけると、実は温度が下がっていくプロセスが非常に面白くなってくる。その香味変化の多様性は豊かさに満ちている。日本酒を構成する様々な香味がチョロチョロと顔を見せながら・・・つまり若干だが、それぞれの成分のピークが出てくる温度が異なるのだろう・・・どの温度帯においても酒全体の香味バランスが崩れるということはないので、一種類の酒ながら数本分の個性を楽しむことが出来る。

燗酒60℃・・・基本的に50℃と大差ないが、完全に冷えた状態になったとき、煮切り酒とした時の可能性を感じた。これ、美味いですな。勿体ないようにも思うけど、これで”かえし”作ったらとんでもないなぁ。

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裏ラベルだ

裏ラベルを読むと・・・2011年度醸造だから新酒としては2012年に出来ているとして、蔵内8年熟成で昨年の6月出荷、酒販店の冷蔵庫で1年熟成ということだ。この一升瓶の中で9年間の眠りについていた酒というわけだ。東日本大震災を経験した後の一発目の造りというコトになるのかな?ワガハイの計算が間違っていなければそういうコトになる。

昨日の当ブログでも10年前について書いたが、なんだかいろいろ思い出すきっかけになる。さあ、どうしようか・・・この山廃、行き付けの酒販店の在庫、買い占めちゃおうか?ちょっと面倒な悩みを抱えてしまったようだ。まあ、この楽しみを分かち合うというのも大切だから、買い占めるのは止めておいた方がイイのだろう。だが、あと2本ぐらいは買っても問題はないかな。

 

なお、抜栓四日目まで楽しんだが、終始、香味バランスが崩れることなく開いていった。最後の一杯は室温で。