Etsuro1のブログ

関東南部で寝起きする男の戯言記録

限定品に弱い・・・「2020 ルバイヤート甲州かろやか」

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2020 ルバイヤート甲州かろやか

一体何年呑み続けているのだろうか・・・「ルバイヤート甲州シュールリー」。丸藤葡萄酒のワインに関しては、30年以上前から呑んでいるのは間違いない。ただ二十代の前半は通りがかりの山梨県内の酒屋で、アルプスワインの一升瓶を良く買っていた。

ハッキリ言って、若かった頃は酒の美味さなど分からなかったんだなぁ・・・やっぱり経験を重ねないと美味さは分からない。分析的に香味を読むコトだって、この味がナニなのか、この香りがナニなのか、ってぇコトを会得するには訓練だけじゃなくて経験を重ねるコトが必要だな。

ソモソモは、興味が無ければソレまでだけどね。

 

今は良い環境になったと思う。日本酒も日本ワインも、かつてとは比較出来ないほど凄いコトになっているからだ。ワガハイの呑み始めた頃は、ボ~ッとして日本酒買うと糖類・酸味料。醸造アルコール添加だったからねぇ・・・三増酒って言われるヤツだな。酒屋さんに行って「純米酒はありませんか?」って言うと、その存在を知らないケースもあったからなぁ。

だいたい多くの酒屋さんはサントリーのダルマ(オールド)とかを並べて、これ呑めば結構高級な部類・・・みたいな感じだったねぇ。ボトルキープがオールドっていうのは多かったな。で、ワガハイが行きつけの店にシーバスなんかをソ~ッとキープしておいたら、悪友がそれを見つけて呑んじゃったりしてねぇ・・・その代わりに其奴に越乃寒梅を2合分、支払わせたりしてねぇ・・・そんな時代でしたな。

ここ数日、山梨のワインのコトを書いてきたが、このようなワインなんて無かったからな。ソコのお若い方!あなたイイ時代に生まれてますぞ!そんなに頑張らなくても吟味された国産ワインが呑めるし(輸入ワインの品質も酷いモノが多かったからなぁ)、日本酒が味わえるのだから。

 

質的に良いものが豊富に入手出来る環境で香味経験を積むことが出来るという昨今、これからの時代を生きていく人達は、そういう点では圧倒的に恵まれていると思う。とはいえ、コロナ禍をなんとか抜けていかないとど~にもならんが。

オミクロン株に罹患してしまった場合の後遺症に関しては、まだハッキリしたコトが言われていないが、警戒は怠れない。味覚・嗅覚障害をワガハイのような年齢の人間が起こしてしまうよりも、若い方たちが起こしてしまうことの方が困る。次世代の香味を造り上げていく世代は大切だ。だからくれぐれも若い方々もご自愛くだされ!

 

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裏ラベル・・・限定醸造1468本

さて、「2020 ルバイヤート甲州かろやか」は、一体どの様なワインなのだろうか?透明瓶に入れられて「かろやか」とラベルに書かれていたので・・・こういうのって微妙なんだよなぁ・・・と警戒したのだ。口当たりサッパリで呑みやすく、ワインの苦手な方にも受け入れやすいっていう狙いだろうか?で、そういうのは日本酒でもよくあるが、だいたいは買って失敗するんである。ワガハイが好む香味世界であることは少ないのだ。

 

だが、心配には及ばなかった。ルバイヤートの蔵に行って購入したので、担当の女性が解説してくれたのだ。コレねぇ・・・裏ラベルには書いてあるんだが、売場でこの文字を読むっていうのが辛い年頃になったのだ!老眼は日々進行しておる!

つまり、収穫した甲州品種の葡萄を圧搾して、ワイン用酵母を添加せず、補糖をぜずに発酵させたというワケだ。葡萄に付着している酵母と、蔵に住み着いた酵母によって発酵したということだな。それは昔ながらの製法であって、トラディショナルだねぇ。

補糖しないからアルコール度数は10.5%と低め。普通は12~13%位はあるからな。だが、補糖せずにソレだけのアルコールが生成されるというのは、なかなかいい線いってる葡萄だったんだな。発酵の方法からすると、赤ワインに比べれば白ワインは発酵中にアルコール分が蒸散するのは少ないとは思うが・・・10.5%ならば、糖度の高い葡萄だったんだねぇ。

 

でも、アルコール飲料の宿命である!アルコール度数の高さは、やっぱり香味に関わるコトなんである。この「かろやか」は文字通り軽やかである。だが、加水したような軽さではないので自然な軽さになっている。ワインは葡萄の水分を用いて仕込まれるからねぇ・・・日本酒は水を大量に使うケドね。

飲み応えという点では、やっぱり「ルバイヤート甲州シュールリー」に比べて劣る。でもそれは製品としての狙いが違うのだから、単純に比較しても仕方ないのかもしれない。

「かろやか」はその命名の通りに軽いんだが、昔のワインを思い出す一面も感じられた。それは決して褒められた要素ではない・・・野生酵母の性質に関わるコト?だろうから、それもまた一つの勝沼テロワールなんだろうが、ほんの僅かに埃っぽさのような、粉っぽさのような感覚が残る。

でもなぁ・・・ホントに昔の勝沼のワインって、こういうタッチがあったよなぁ・・・と懐かしさを覚えはする。そして懐かしさだろうか、嬉しくもなる。

でもまあ、あまり気にするコトの無いレベルだから購入してヨカッタ。この地域の特徴の一つを味わうことが出来た良い機会だったと思う。パンでも天然酵母種でやると、いろいろ変な香りやら味やら出てくるコトがあるからねぇ。時々コレって大丈夫かいな?って思うパンもあるからなぁ。それもまた、野生酵母天然酵母の楽しみではあるんだがねぇ。

 

とにかく限定醸造1468本!一昨日に続いて「限定品」に弱いワガハイ。だが、ナニにしても量は限られているんだから「限定品」なんだけどね。甲州種をシンプルに造るという、ある意味原点回帰的な、温故知新的なところを踏まえながら、新しい香味世界を探り始めている動きでもあるのだろうか?幾つかの蔵の試みに、これからの甲州ワインの香味展開を楽しみに呑兵衛人生を送れそうだな。来年も山梨ワインを時々チェックしなければイカンなぁ。

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