Etsuro1のブログ

関東南部で寝起きする男の戯言記録

直球勝負だなぁ・・・「ロリアン・セラーマスター マスカットべーリーA 2019」

昔、昭和から平成はじめあたりのコトだが、国産ワインは店頭で見かけることが少なかったような気がする。それはただ、国産ワインに関心が無かっただけかもしれないが、山梨県に葡萄狩りに行ったついでに、お土産に買ってくる程度のモノだった。珍しいから喜んで呑んでいた・・・昭和の時代は湯呑み茶碗でね(これは我が祖父のスタイル)

日本酒もそうなんだが、二十歳になって大手を振って呑むことが出来るようになって、いろいろな酒を呑んでみると、そんなに大人が騒ぐ程に酒というのは美味いものナンだろうか?と思っていたなぁ。

糖類や酸味料や、いろいろ入っている日本酒が沢山売られていたんだからなぁ。「いろいろ入っている方が美味い!」っていう人も居たほどだ。更に酷いのはサリチル酸添加ってぇヤツだ。防腐剤だな(現在、サリチル酸添加している日本酒は無いからねぇ・・・頭痛くなるっていう人は飲みすぎが原因だよ)。これが日本酒の悪酔いの原因の一つとなっていたワケで、頭痛薬とお酒を一緒に摂取していけませんなぁ・・・というコトと同じだな。

ま、酒の品質についてアレコレ騒ぎ出すのも、バブルが契機にはなったんだろう。多くの人が外国旅行に行って「ありゃあ?俺たちが今まで呑んでいたのはナンだったんだ!」と、ショックを受けた筈だ。ソレまでは、一部の船乗りや飛行機乗りの人達の間で、やや秘密裏に旨酒が呑まれていたのではなかろうか?と思ってしまう。

フランス産ワインだって店頭に並んでいる多くのモノが(一流デパートでも)、船便で日本にやって来たモノで、それも温度管理がされていない混載コンテナ(リーファー・コンテナではない)で熱帯地帯を越えてきたようなシロモノだった・・・見事に意に反する不適切な火入れが、長時間にわたってされてしまったワインだったりした。

いや~、欧米人が大騒ぎするワインってぇヤツは、こんな程度の酒なのかなぁ?欧米人の舌って大丈夫かいな?と、心配したもんだが、それは輸送方法に大問題があったんだな。あるとき、欧州帰りの方のお土産で、さもないボルドーを頂いたコトがあったが、それは全くの別物で驚愕したもんだ。

まあ、ナニゴトも一夜で改革改善されるもんではないからねぇ。積み上げですなぁ。

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ロリアン・セラーマスター マスカットべーリーA 2019 白百合醸造(株)

呑み手が育たないと造り手も育たない・・・その逆もまた真なり!理解者がいなければ優れた仕事も埋もれてしまい、消えてしまう。いきなり突出してもまわりが付いてくることが出来なければ、継続が難しい。両輪を上手く回すコトが大切とは言え、これも言うが易し・・・なんだがねぇ。

日本酒でも山廃の多酸酒なんて、いきなり売れるものでもなかろう。ジワジワと理解し、理解し合う関係の中で杉井酒造さんだってチャレンジャーで居られるのだろう。勝沼だって、いきなり現在のような品質のワインを生み出せるワケがない。

 

山梨県勝沼のワイナリーを網羅して、長年にわたってテースティングしてきたワケではないから、言い過ぎかもしれないが・・・大雑把に25年位、気になる幾つかのワイナリーの商品を呑んできた経験からすると、やっぱりルバイヤート丸藤葡萄酒工業)の甲州ワインが頭一つ先を走ってきたように感じている。そして、あとチョット、なんとかならんモノか?と思い続けてきたのがロリアン(白百合醸造)だった。

そう・・・何年もの間、あと少し、ほんの少しの改良が・・・。生意気だが、正直そう思っていた。そしてここ数年のロリアン・セラーマスターは、ワガハイの不満点を解消した。甲州も美味いが、マスカットべーリーAのワインについては実に無理のない香味で自然体だ。素直に葡萄の特徴が表現されているように感ずる。それはマスカットべーリーAを生食してみれば分かるコトだ。ナンならば、マスカットべーリーAをつまみにして、このロリアン・セラーマスターを呑んでみればよいと思う(ま、今の時季では葡萄が終わっちゃっているケドね)。

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裏ラベル・・・ワガハイは16℃で呑んだ

葡萄を食べながら、同じ品種で醸した赤ワインを呑むというのは、やってみると面白い。葡萄の糖分がアルコールに置き換わっていて、葡萄の皮や種の渋味がワインに溶け込んだ感じを確認し、酵母さん達微生物の働きによって生じたうま味、そして葡萄の根が吸い上げた土壌の無機塩類・・・そういうコトを探りながら味わうのだ。それらの要素の多くは、葡萄という果実の中に散見されるモノだ。

ま、このワインはライトボディ寄りで軽いので、ボルドーのフルボディみたいなガチで土壌を感ずるようなワケにはいかないけれど・・・ま、それは日本の土壌の性質でもあるから致し方ないところもあるんだろうが・・・それでも、淡さの中に感じ取るコトは出来ると思う。

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勝沼甲州種100% 白百合醸造(株)

山梨のワインといったら、甲州種で造られたワイン抜きでは面白みがない。この勝沼甲州種100%のワインは、ルバイヤートと比較するとほんの僅かにライトだと思う。だが、この比較は甲乙をつけるなど意味を成さない。それは造り手の目指す香味感性の問題だろうなぁ・・・醸造家の個性だと思う。ようやく甲州ワインの醸造家の個性を、ノイズの少ない状態で堪能出来る時代になってきたんだなぁ・・・これは綺麗で美味なワインですぞ!

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裏ラベル

ま、細かい説明は避けるんだが・・・ルバイヤートロリアンも、ワガハイ的に嫌う臭いが無い!という点が第一に上げられる。その嫌う臭いというのは、間違いなく製造過程で付着する不良発酵臭だろうと推測している。これは日本酒でもビールでも似た臭いを感ずることがあるからねぇ・・・大手メーカーの製品でも。

まだ、この不快臭が僅かながら生じているワインというのがあるので、なんとかならんモノか?と思う。でもまあ改善傾向にはあるだろうから、あと数年のうちには解決するのかもしれない。たぶん、こうした問題を改善していくのは新しい世代の造り手に可能性があるだろう・・・ワガハイの世代は、やっぱりソロソロ少し引き下がった方がイイかもしれないねぇ。正直なところ、この不快臭もまた、懐かしさでもあるからねぇ・・・ポリポリ

 

それにしても勝沼行きたい!