器っていうのも凝り出せばキリが無く、趣味性が強いものだ。骨董に手を染めてしまったら大変なコトになる。そうして投機対象になって普段使いの出来ないモノになってしまう。まあ、美術・博物館に展示されるモノまであるわけだし、ルーツを辿れば発掘品の次元にいってしまう。
博物館展示の器といえば、静嘉堂文庫美術館所蔵の「曜変天目(稲葉天目)」という国宝があって、あそこまで珍重されてしまっては静嘉堂文庫美術館の学芸員になったとしても、そうそうやたらに触れるモノではなかろう。もはや器とは言えないのではないか?そもそもモノを入れるという「器」の使命が何処かに蒸発してしまったようだ。まさしく窯変したかのように変質してしまった。
残念である・・・美術・博物館は墓場、とはよく言ったものである。知人に人間国宝になった方がおられるが、お祝いの言葉としてワガハイは「遂に死ねないじゃないですか!どうするんですか?保存は??」と、冗談で言いましたな。すると、そういうコトはワガハイがはじめてではなく、いろいろな方から言われたんだそうだ。
まあ、重要無形文化財保持者っていうのが人間国宝のコトだからねぇ・・・あくまで「無形」ってところがミソだよね。その「無形」とはまさしく「技」とその裏付けとなる意味性の伝承なんでしょうな。そういう問題を後世に伝え残していくという仕事が、人間国宝になられた方には課せられる、というか重要なお仕事になるんだそうだ。
なんでもその仕事を実行するためというコトなんだろうが、資金援助というか助成って言葉を使った方が良いんだろうか?幾らか国からお金も出るらしい。でもねぇ・・・弟子の育成で使ってしまって実態は赤字だと言ってましたな。
毎日の食事では、100均の食器で充分に実用に耐えるし・・・本当に実用としてはホームセンターで売られている物で充分だし、無印良品やらニトリなんかでも多少気の利いたデザインの器が売られている。むしろ高級な器はデザインも重厚だったりして、現在の生活スタイルの中に持ち込むと扱いに困ってしまう・・・インテリアにも浮いてしまう、というコトもあり得る・・・が。
第68回日本伝統工芸展は、今月27日(月)まで、例によって日本橋三越本店 本館7階 催物会場で開催中である。本来ならワガハイは見に行くのであるが、ワクチン2回接種済みでも慎重を期して遠慮することにした。一応、ちょっとだけ面識のある方が受賞している。工芸の仕事は元々集中的に籠もって行う作業が多いだろうから、ひょっとするとコロナ禍でも制作自体には何ら影響なく、むしろ集中して籠れる、という人もおられるかもしれない。だが、器自体の需要はどうなんだろうか?気になりはする。
工芸作家の作品というのは、基本的に一品物である。まあ、汁椀などはある量を挽いて塗り上げるから数量というのは出来上がってくるものの、NC旋盤で木材を挽いたとしても、必ずバラツキが出るものだ。まあ、多分NCではないと思う・・・ひとつひとつ職人さんが挽いていると思うが。だから量産とまでは言えないレベルだから尚更、っていうこともあるだろうか、よ~く見るとそれぞれが独特の表情を持つもんですな。
マイセンやらコペンハーゲンやらの磁器になってくると、相当量の生産だけに生産工程も家内制手工業的なレベルではないだろうから、ひとつひとつの差異というのも少なくはなってくる。でも、よ~く見れば微妙に違う。だから大変だ!ワガハイの妻はコペンハーゲンの売場で、店員さんと「あ~でもない、こ~でもない・・・」と長々とやってしまう。ワガハイなんぞ、軽く爪で弾いて響きに問題が無ければ買ってしまうんだが・・・勿論、店員さんの許可を得てからだが。
で、本日は冒頭の画像・・・リチャード・ジノリである。ワガハイはジノリ好きである。ここの食器はなんだか楽しくなってくるのだ。そりゃあ、コペンハーゲンもマイセンも素晴らしい!でも、ジノリに比べるとちょっと陰険さのような・・・それは言い過ぎかもしれないが、暗さを感ずるんである。そこはイタリアの気質なんだろうか・・・ジノリの明るさが魅力だ。食卓が一気に華やいで楽しくなる。盛り付けも楽で楽しい。
我家では、ベッキオジノリホワイトというシリーズ・・・最もシンプルな白い器だが、これの出番が一番多くなる。そして器の数としても平皿の類いは、このシリーズの物は耐久性も優れていて普段使いにも楽である。えっ?普段使いには勿体ない・・・って思わないことだ。それでも敷居が高いならばアウトレットショップとか、公式オンラインショップのキャンペーンやセールを狙えば良い。
因みに埼玉県越谷にファクトリーショップがあるみたいだ。近所の方はなんと幸せなんだろう。ワガハイは遠いから、デパート売場か公式オンラインショップ利用だ(昔は御殿場プレミアムアウトレットにあったので便利だったんだがねぇ)。
まあ、気取らずにアウトレット物をガンガン使うというのもイイですぞ!
ところで、2009年のウェッジウッドの倒産っていうのは、ありゃりゃ、とは思ったものの、ワガハイ的にはファンではなかったので、それ程のショックではなかった。ただ、これから幾つかのブランドが苦境に立たされることは予感出来たんでねぇ・・・その予感は2013年初頭のリチャード・ジノリ破産という情報には、やっぱりと思いつつもショボン・・・となった。まあ、ブランドは存続して基本製品のラインナップは維持されているので一安心なんだが、いつの間にやら「GINORI 1735」となっておるぞ!
ま、変わっていますな。
レストランで使われているコトも多いジノリだ。コロナ禍で売り上げは厳しいかもしれないが、伝統工芸をはじめとして、こうしたモノは途絶えると厳しい感性の関わるコトだけに、頑張って貰わなければ・・・勿論、下の画像のモノもね!