ワインボトルのエチケット(ラベル)に、2024という今年の数字を見るようになると年末の慌ただしさが始まる。そしてこの年ももうすぐ終わってしまう。
そしてそういう時期になると、日本酒の仕込みが始まる。もう既に寒仕込みだけの酒蔵では、蔵人の方々が勢揃いされているだろうし、仕込前の準備も終えて・・・というか、既に製麹は始まっているのではないだろうか?
いや、もう醸造タンクの仕事も始まっているかな?
年内には新酒の今季初の上槽があるだろう。
かつては本醸造の仕込みからスタートして、その状態を見ながら今季の酒米の状態などを確認し、お久し振りの仕込み手順などを確認していたりしたと思う。でも、醸造アルコールを添加しない(本醸造ではない)純米酒だけを造っている蔵となると、始まりは純米酒からとなるだろう。
そして年が明けて寒さが厳しくなってきたトコロで、吟醸酒の仕込みが始まる。
こうした冬の寒い時期だけ酒を仕込むスタイルの蔵って、まだまだ中小規模の蔵ではあるけれど、規模が大きな酒蔵になると通年で醸造出来る。なにせ蔵内は空調管理してしまっているから、いつでも醸造の適温なのだ。
で・・・ナンの事情かは知らんが、通年造れるのに三季醸造にしている蔵もある。通年で造ると造り過ぎてしまうのだろうか?
というワケで、日本酒のナニ呑んで面白いか?というと、やっぱり寒仕込みだけの中小規模の蔵の酒が面白い。大手については、それは立派な品質管理はされているけれど、どこの蔵も似たり寄ったりの味わいに思えてしまう。あえて無理矢理、個性を演出しているようにも感じてしまうのだ。
だから設備的には、越乃寒梅や八海山、久保田とか、そういう規模の酒蔵の場合は似たり寄ったりだと思うし・・・というコトは、越乃寒梅を八海山の蔵で造ろうと思えば、やってやれないコトではない、というような気がしてくる。
水質だって、コントロール出来るし。
日本酒は、それはまあ・・・焼酎もそうなんだが、人為的な要因が大きいと思う。だからユネスコ無形文化遺産に「伝統的酒造り」が登録決定となったことも、カビの一種である麹菌が関わる製麹が評価されているみたいだ。
別に食品製造にカビを用いるのは日本の酒造りだけの特徴ではないのだけれど・・・
日本酒造りに用いられるのは黄麹というヤツで、アスペルギルス・オリゼー[Aspergilus oryzae]という、デンプンをブドウ糖に分解する酵素「アミラーゼ」の力が強い。そしてアスペルギルス・アワモリ[Aspergilus awamori]という黒麹菌は、デンプンの糖化力とともにクエン酸の生産力も強いことから、泡盛という名だ。
とまあ、このアタリの麹が評価対象なんだろう・・・か?
では、味噌・醤油造りでのアスペルギルス・ソーエ[Aspergilus sojae]の立場はど~~なるんだろう?そして鰹節製造のアスペルギルス・レペンス[Aspergilus repens]の立場も。
と・・・基本、ユネスコがど~も気に入らんワガハイとしては、突っ込みたくはなる。
世界遺産の登録がどうであれ、イイものはイイし、ダメなものはダメ。ミシュランの星についても、な~~んかつまらん!
ついでに登録有形文化財っていうのも、中途半端な制度なんだよなぁ。
ま、一応文句タラタラはこの辺で終わりにしよう。
麹菌がデンプンを糖化する必要のない、ブドウという果実から造られるワインは、要するに製麹の工程が全て畑仕事になる。畑の管理は人為だけれど・・・水やりもやれるけれど・・・お天道様だけはど~にもならん。そして昨今の地球熱帯化現象も、いろいろ工夫はあれど、いずれ限界になるかもしれん。そういう手間暇かけた工程を自家ぶどう園でやってすよ!という新巻葡萄酒さんの甲州2024だ。
つまり、荒巻さん・・・畑仕事がこれまた上手に違いない。
香味はクリーン!穏やかできれいな香り。口に含むと、暫く食す機会がないイワナを思い出した。炭火で素焼き!コレだな。
ヤマメも勿論いいけれど、初手に思い浮かべたのはイワナだった。塩を振ってはいけない。あくまでも素焼き。
そういうシンプルな調理で一杯といきたいトコロだけれど、まあ力を抜いて普通に和食的日常生活の中で楽しんでも全く問題はない。
今年の甲州も綺麗なワインになっていた。山梨・・・行きたいねぇ。真冬になると路面凍結の心配があるから、年内に一度行きたいねぇ。新巻葡萄酒さんとルバイヤートさん、だな。