ワインの質を語る時にしばしば耳にする「テロワール(Terroir)」という言葉がある。これはフランス語で「土地(Terre)」という意味が元だという。
葡萄の栽培環境をアレコレ言う時に「テロワール」がいい、とかイマイチとかいう話になる。つまり、気候や風土、土壌の質・・・もっと広く捉えれば文化や地域性、そこに暮らす人達の気持ちまでもがテロワールという言葉に含まれてくるかもしれない。
使い慣れるとちょっと便利な言葉だと思う。ワガハイも時々、ワインや葡萄と関係ない領域で「テロワール」という言葉を使ってしまうことがある。これ、ワイン好きの人には説明する必要がないが、知らない人には説明しなければならない。だが、その意味を説明すると、聞き返してこられる方が多い。
「テロワール・・・って言うんですか、そういう言葉がワインにはあるんですね。」
日本酒にも、テロワールという説明の仕方は適合するし・・・それは酒米の栽培に関わる環境や、ワイン醸造の工程と日本酒醸造の工程を照合すれば、日本酒での麹造りっていうのは、ワインでの畑の領域の仕事に関連するし・・・だから、麹室の環境(麹に関わる蔵人の手業とチームワーク)っていうのは、日本酒でのテロワールに含まれてくるかもしれない。
勿論、ワイン造りだってチームワークは大切だし、その「和」が品質に反映するコトは確かだろうけど・・・日本酒の方が、蔵内作業の工程が多いからねぇ。
ま、とにかくテロワールが悪いと、いろいろ難儀するコトが増えるものだ。社内環境を整えるっていうのは、会社組織のテロワールを整えるコトだから、
「ここの会社はテロワールがいいねぇ・・・(つまり社風がいいねぇ~ってコトだろうが)」
そういうコトだろうけど。
さて、永田町のテロワールは如何なもんでしょうなぁ?
腐った土壌で不良発酵した腐造酒の臭いがプンプン・・・というコトだと困るなぁ。
前振りが酷い例だったが、そこから恐縮ながら美酒の話に切り替わる。
ヴィンテージが2021だから、もう数年寝かせてから呑んでもイイのだが、やっぱり耐えられずに抜栓となった。まあ、若いうちの香味は若いうちに楽しまないと享受出来ないからね。また蔵を訪ねた時に在庫があれば購入すれば良いのだ。
限定1340本だから・・・いつまでも在庫がある、とは考えない方がイイけど。
ココでワガハイが書いたことで売り切れてしまったら、墓穴を掘るようなコトになってしまうが・・・まあ、当ブログのアクセス数からすれば、心配するほどのモンじゃないだろう。
と・・・こういう風に書けば、いいワインだというのは詳細を述べるまでもなくお分かり頂けると思うので、別にこれ以上書く必要はないだろう。
「勝沼町産 ソーヴィニヨン・ブラン種100%使用」というコトで、その葡萄が作られた畑は4ヶ所に分散しているようだ。それは裏ラベルを見れば分かる・・・「連柳・試験園・滝の前・旧屋敷収穫」と書かれているな。
その、それぞれの畑を取材して、どの様な特徴のある畑なのか?とか、栽培されている方々のコトも書いたりすれば、当ブログも酒類専門のブログとして成立していくプロセスを踏んでいくコトになるとは思うが・・・そこまでヤル気は全くない。
個人の酒呑みの記憶整理、備忘録であり、それ以上に展開する気力も体力も残されてはいない。そんなコトに腐心するならば、1本でも多く堪能したいという快楽主義なんである。まあ、なんでも情報が多くなればイイってもんでもないだろうしね。
日本産のソーヴィニヨン・ブランから醸造されたワインをズラリと並べて、そのテロワールを探るテースティングをすれば、それぞれの地域の、何らかの特徴や傾向が見えてくるかもしれない。そうした比較経験の上でテロワールという言葉を使った方が客観性は幾らか見えてくるかもしれない。
だが、ワガハイはそんな経験は少ないから、ただただこのワインから言えるコトは抽象的な、或いは印象的な感想にしかならない。
とにかく、クリーンかつ穏やかなソーヴィニヨン・ブランらしいまろみと酸が表現されていて(ステンレス樽使用の効果もあるだろう)、不快な香味は一切感じられなかった。それは、葡萄栽培が吟味されていて、醸造も適切、管理も適切であるコトを示していると思う。
実際問題として、それ以上のナニを求めるというのだろうか?良心というテロワールは間違いなく美酒を生み出していると感動したのだった。(ここで言うテロワールっていうのは、言い換えれば「土徳」とも言えるだろうが。)