昨日、通りがかりにチョロッと脇道に入ってクルマを停めた。夕陽の中、稲が綺麗だったのだ。場所は神奈川県足柄上郡大井町で、足柄紫水大橋の少し下流になる。松が並んでいる堤が酒匂川の堤防になる。
蒸し暑かった。畑で作業されている方もおられたし、散歩されている方も見られたが、暑いのによく平気だなぁ・・・と思う。ワガハイはクルマでエアコンがあるからなんとかなっているのだ。こんな蒸し暑さの中で、自転車に乗って畑に来られて作業しているっていうのは、大丈夫なんだろうか?と心配になる。
それでも稲の広がる景色を見ていると、幾らかは暑さを忘れるコトが出来る。無事に稲が育って実りの秋をむかえられるように、と願う。
毎年、稲の育っていく姿を見ていて思うコトなんだが・・・ワガハイが生まれてから幸いなコトに、飢饉で米が全く得られなくなるという事態は経験せずに済んでいる。だから毎年秋になれば新米が食べられて、冬が近づけば新酒を心待ちにすることが出来る。
それは至極アタリマエのコトになっている。だが、コレって結構、奇跡的な出来事の連続なんではなかろうか?と思ったりする。
温暖化だからねぇ・・・アタリマエが当たり前にならなくなる日も近いのかもしれない。そういう思いも過るのだ。新米は楽しみだが、同時にやがて来るだろう危機に心は暗くなったりする。
ジジイ心は複雑なんである!
夕方、6時前。日はまだ沈んでいない。本当はこのタイミングで風呂から出て、スイカなど食べる夏の休日・・・っていうのが子供の頃だった。
シャワーなんて無かったからねぇ・・・そして明治生れの男は熱い風呂が好きだった。子供ながら測ってみたら湯温45°!苦痛に耐えるような表情を見せながら全身を真っ赤にして、「ああ~~~~、はぁ~~~」という声が風呂場から聞こえる。
当然、子供の頃のワガハイも、そういう高温地獄の風呂に入れられて・・・。
大人は、苦痛を快楽と感じるらしい・・・と、子供ながらに学習したもんだ。
明治時代には電気冷蔵庫など無かった。そういう時代に台所仕事をしてきた祖母は、塩や酢を活用して上手に保存食料を作るのが上手だった。だが、美味いんだが塩分量も多い。冷蔵庫があるから、そんなに塩を使わなくても良いと分かっていても、習慣で塩は強くなってしまった。
だから全般に料理の味は濃い。だが、あの濃い味付けの「金目鯛の煮付け」は、やっぱり美味かった。ワガハイも、その味に近づけてみようとチャレンジしてみたコトもあったんだが、予想される酒、醤油、味醂、砂糖の比率っていうのは・・・いざ、鍋に投入しようとするとビビってしまって出来なかった。
焦げるか焦げないか・・・ギリギリのところを攻めるような火加減なんだよなぁ・・・若干、キャラメリゼってな加減なんだなぁ。
風景を見ているのか、昔を思い出して記憶の旅をしているのか、なんだか分からなくなる。ま、こうして子供の頃から稲の風景を見てきた。この地域の田圃ではないけれど・・・そういえば、この大井町のどこか一角に、戦後のほんの一時期だけだが小澤征爾さんの家族がおられたんだよなぁ。御殿場線の相模金子駅の方だったように聞いた記憶がある。
脈絡なく、いろいろな記憶が蘇ってくる。こりゃ、老い先短いか?
田圃は水を抜かれていた。土用干しってぇヤツだろう。コレをやると稲の根張りが良くなるんだっけ?子供の頃は、このタイミングでザリガニを大量捕獲したもんだ。今思うとアメリカザリガニだったから、子供たちが外来生物を駆逐するという天敵になっていたんだな。
上リンク先でちょっと書いた、「神奈川県立高校のトイレに野生の鹿さんが立て籠もるという事件」が起きた大井高校が、田圃の風景の先にチョロッと見える。
以上、東名高速大井松田インターを下りて5分程のトコロに広がる風景にて。
修正箇所(2022/07/19):タイトルの「金目鯛の煮物」→「金目鯛の煮付け」