Etsuro1のブログ

関東南部で寝起きする男の戯言記録

移ろいゆく香味空間に漂いながら・・・「丹沢山 阿波山田錦 仕込三号 無濾過生原酒」

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生酒の季節・・・阿波山田錦 仕込三号 無濾過生原酒

季節が巡ってくることを当たり前と思いすぎて、気付き、考えるコトが無かったならば、「暦」は出来なかっただろう。昔々、世界のアチコチに空を見上げて思案に暮れる人たちがいたんだろう。そして太陽や月、星の動きを執拗に見て記録していった。なんとなく習慣的に行なってきた狩りのタイミングであるとか、木の実の収穫であるとか、そういったコトもあわせて季節が定期的に巡ってくるコトを意識して把握しようとし始めた。

たぶん、最初の頃の暦は不正確だったんだろうなぁ・・・そして観測精度を上げる工夫をするのも、暦のズレ(矛盾)をどの様に解決していくか?という試行の繰り返しから生まれてきたのかもしれない。

ユリウス暦とかグレゴリオ暦とか、太陰太陽暦とか、はたまた教会暦とか、暦にもいろいろあるが、イギリスがユリウス暦からグレゴリオ暦に切り替えたのが1752年11月24日で、日本の場合は1873年明治6年)1月1日に太陰太陽暦からグレゴリオ暦への切り替えを行なった。

以上は暦の基礎知識だが、すっかり忘れてしまっていて調べ直した。因みに地球が太陽のまわりを一周するのは365.2422日だという・・・この細かい数値も忘れていた。更にはそのことを「1回帰年」という言い方があることも忘れていた。なんで閏年があるのか?っていう話の元だからねぇ。

ああ、ワガハイはこのテの知識豊富な少年時代を過ごしたんだがなぁ・・・今ではその記憶は「酒」のコトにすげ替えられてしまったなぁ。一年を通して酒を楽しんでいると、特に日本酒は季節ごとの酒が売り出されるから飽きることがない。特に新酒が次々を売り出されるこの季節を迎えると・・・

「やって来ました!丹沢山、無濾過生原酒の季節到来!」

やっぱり「呑兵衛暦」だねぇ・・・

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川西屋酒造店のお仕事・・・丹沢山 要冷蔵生酒

ああ、また新酒が呑めるぞ!ってなもんで、また一年が巡ってきたことを激しく実感を伴って感動の渦に巻き込まれるのである。そうしてまた一つ、年老いていくコトも忘れて、気持ちは童心に返ったかのようになってしまう。もっとも、本当の童心を持ち合わせていた時には未成年だから味わえないけどねぇ。

 

「二〇二一年度醸造」という表記があるが、これが時にややこしい。日本酒の寒造りは年を跨いで行なわれるから、その冬の造りの途中で製造年が変わってしまうと管理上はややこしくなるんだろう。で、醸造年度という酒造独特の言わば「暦」が使われる。ま、四月に入っても若干造りが残っていれば、それもまた一続きの造りだから同じ醸造年度にくくってしまうのかなぁ?まあ、そのあたりは税制との絡みも出てくるかもしれないからワカランが、概ね三月中には酒造工程の殆どを終えてしまうものだからなぁ。

ま、酒蔵の都合はともかくとして、ワガハイなどは酒造年度にある程度慣れているから熟成酒が何年経っているか?なんていうのは分かるんだが、慣れていないと計算を間違えてしまうことになる。

あ・・・2021BYというように西暦年度で表記されているコトもあるが、R3BYというように令和3酒造年度を意味する表記の場合もある。言うまでもなく、BYっていうのはBrewery Yearのコトね。更にややこしいのは25BYとだけ書かれている場合もあるが、これは平成25酒造年度っていう意味だ・・・ろう。H25BYっていうのもあるからねぇ。

だんだんワケ分からなくなってきたでしょ?で、裏ラベルにある製造年月の表記っていうのは、出荷(蔵出し)だね。コレってたぶん酒税の絡みっていう意味合いもあるだろう。何故なら「蔵出し税」だからねぇ・・・酒の製造年月表記っていうのは、品質管理の意味合いもあるけど、酒税管理の意味合いも強いだろう。

ま、変な税制だけどね!

或いはこういうコトもある。瓶詰め時点で製造年月を決めてしまうと、瓶内熟成という方法の場合はど~なるんだ?ってぇヤツだ。熟成もまた製造上の一つの工程だからねぇ。

ま、とにかく蔵内消費なら非課税っていうコトなんだろうから・・・酒は蔵内で呑むに限る!って、素人には無理な話だからなぁ。

早いものでもう十年近く前になるが、強烈な呑兵衛がいてねぇ・・・元税務署勤務の方だったから「蔵出し税」の問題について聞いてみたことがあった。彼曰く、

「蔵内でジャンジャン呑んじゃえば良いんだよ!最高だなぁ・・・瓶なんが面倒くせぇからタンクからドボドボ注いでもらってなぁ・・・ググッと、こう・・・いくわけだなぁ・・・なにせ酒は蔵出し税だからよぉ、蔵内消費はうめぇよなぁ・・・最高だよ!」

といった、ワケ分からんコトを言ってたなぁ。きっと今もあの世の楽園で酒浸りであろうな(いや・・・何処かの酒蔵で妖怪になっているかもしれない?最近原因不明で醪が減るなどの怪奇現象が起っている蔵があったなら、たぶんそれは元税務署員の呑兵衛が妖怪となって住み着いちゃったのかもしれない)

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裏ラベルだ

とにかく、酒のラベルに書かれた製造年月っていうのは出荷時点の意味であることには違いない。だから熟成酒の場合は、酒造年度と製造年月がかけ離れているコトになる。で、何年熟成したか?と引き算する場合は十分に注意して引き算してほしい。片方は年度表記だからねぇ。

 

ま、言うまでも無く「丹沢山 阿波山田錦 仕込三号 無濾過生原酒」は・・・(って長いなぁ)4日間かけて呑んだ。一升瓶を二人で呑んでいるのだからそれ位はかかる。呑んでは冷蔵庫に入れ、翌日呑んでは再び冷蔵庫にいれ・・・という具合である。そりゃあ、徐々に香味は開いて変化していくから、殆ど同じ香味で最後まで楽しむということはない。それは当たり前のコトである。ただ、その変化の中で違和感であるとか、異臭であるとか、変なコトは一切生じないのが川西屋酒造店のお仕事である。

安心して呑める品質ですな。

一升瓶の呑みはじめは、新酒ならではの微炭酸分を感じるのでスペック以上に辛さを感じる。そして炭酸分は抜けていくから香味は穏やかになっていく。そして酸のカドは穏やかになっていく。そうした香味の移ろいを楽しむ意味でも、一本の酒瓶を前にジックリとした味わいの時間を持つというのが至極であるなぁ。その香味の移ろいをストーリーとして鑑賞するんだな。ま、ワインと同じですな。

 

ワイワイ楽しく呑む酒も、それはいい時間だが・・・今度はオミクロン株である。いくらかの自粛が求められたとしても仕方ない。ワガハイは相変わらず自宅で一本の酒を前にして、夜な夜な旨酒を讃美し、蔵元と蔵人にも讃美を惜しまず、松尾様とバッカスさんと、イエスさんにも感謝しつつ酔いましょうなぁ。

しっかし、イエス・キリストって酒呑みで有名だが、福音書を紐解くと酒呑みとして相当な手練れだよねぇ・・・酒呑みの視点で読むと実に面白うございます。この丹沢山呑んだら何て言うかねぇ・・・と、妄想しながら呑むのも楽しいもんですな。ま、古代エルサレムにはこれ程の酒はあるまい。ワガハイ、いい時代に生まれておるな!

 

※ ワガハイ的には勝手に三大酒豪神と位置付けておる。