Etsuro1のブログ

関東南部で寝起きする男の戯言記録

最高級品が美味を目的としているとは限らないからなぁ

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久しぶりの大吟醸酒「美齢」

食べ物や飲み物が旨いとか不味いとか、それは個人的な意見としては勿論、そのように感じたのだからそうなんである。だが、嗜好は人それぞれである。ある人が旨いといっている蕎麦屋が、ワガハイにとってはど~にも食えないというコトだってあり得る。多くの人の評価が高かったとしても、ワガハイには不思議に感ずるコトだってある。

生活している環境によっても嗜好は変わるから、要するに旨いとか不味いという評価は、ある程度限られた範疇でしか共有出来ない価値観かもしれない。

ただし、食品としてあってはならない味とか臭いがあったとしたら、それは旨いとか不味いという話ではなくなる。あってはならない、というのは言い過ぎとしても、芳しくない香味というのはある・・・それは劣化した素材に由来する香味である。

例えば珈琲なんていうのは嗜好品の極みであるから、トンデモナイ物を旨いと思い込んでしまえば、それが最高級品となってしまう。ジャコウネコの糞から集めた珈琲豆・・・コピ・ルアクは、果たして本物なのかどうか?というあたりから疑念が生じる。まあ、希少性として高価な取引が行なわれるというのは、希少性という価値ならば否定出来るものではないだろう。

だが、希少価値の高いものが良質とは限らないし、そもそも希少価値やら高付加価値の商品には偽物がつきものである。このコピ・ルアクに関しても、怪しい香りを後付けしたフレーバー・コーヒーと思われるものが多いように思う。

まあ、希少=高価=美味・・・と感じてしまう人もおられる。

一方、大量収穫=安価=旬=美味・・・ということもある。

まず確実に後者の方が信頼出来る価値観だろう。

また、現地で飲むコピ・ルアクと、日本で飲むコピ・ルアクでは、まわりの環境(気温や湿度・・・光や風)が異なるし、日々の食生活も違う。輸入の過程での変化や劣化もあり得る。だから現地で美味だったとしても、そのまま日本の環境で美味となるかは分からない。ワガハイは美味だとも好きだとも思わないが、まあ希少な香味ではあるとは思うんですな。

だいたい、傷んだ豆も含めてローストしてしまった珈琲を、旨いとか不味いとか言ってもねぇ・・・案外、吟味された珈琲を飲むと「物足りない」なんていう評価が下ったりするものだ。超高級店の天麩羅が軽すぎて「物足りない」っていうのもあるからねぇ(油が良すぎると味が乗らない、なんて言う・・・これでは天麩羅という調理法は、一体なんだろうねぇ?)

 

日本酒は、基本的に地酒である。それはワインなら尚更のはずなんだが・・・。ま、とりあえず日本酒の話となる。ワガハイの地元神奈川県の酒を、北海道や三陸の海鮮素材に恵まれた地域に持っていって楽しもうとすると、思いのほか合わないコトがある。あまりに素材の鮮度が良すぎると、酒が完全に負けてしまうのである。もう少しワイルドな香味の酒の方が合うなぁ・・・と思ったりする。

反対に三陸海岸界隈で呑まれている酒を、神奈川県に持ち込むと荒い印象が強くなってどうも合わない。または、能登半島のいしるをはじめとした独特な郷土料理の中で味わい深い能登酒は、太平洋側に持ってくると若干香味がボケて感じてしまう。そうした経験はあるのだ。その地域の食材と料理法の中でこそ、そこで醸された酒の香味は生きるというワケだ。

勿論、都会消費を意識して酒を造るコトもあるワケだから、そうすると地元流通の酒の傾向と、都内で入手する酒の傾向が異なる酒蔵もあるからねぇ。

ま、ナニが旨いか不味いか、っていう個人的な感覚に基づくことは、あまり押しつけがましいのはイカンだろうなぁ・・・。そんなワケで、客観的な評価の為の利酒というのも手法としてはあるんだが・・・さて?

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裏ラベルだ

正月ならではである。大吟醸酒を頂いた。いわゆるアル添大吟醸である。能登山田錦を40%精米という大吟醸の王道スペックですな。だが、アル添大吟醸は難しい酒である。香味の線が細いからなぁ・・・誤魔化しがきかないので、造りの問題は露呈しやすい。だからこそ、新酒鑑評会ではこの大吟部門での金賞受賞というのは、醸造技術の誉れ高き評価なんだろう。

裏ラベルの記述にある「華やかな吟醸香」というが、かつての大吟醸を思えば落ち着いた部類の香りである。特に抜栓直後はある程度抑制された立香なので、スッキリとした大吟醸ならではの呑口を相まって、冷酒でサクッと味わえる。乾杯などでの一瞬、一口で味わうのに向いているような感触だ。

抜栓後、香味の開きは早めで立香は徐々に強くなっていく。そしてスッキリとしていた味わいは甘さが顔を出してくる。含香は淡いパイナップル系になって終わった。

 

大吟醸酒は、やっぱり家呑みで静かに味わう向きではないような気がした。勿論、そうした環境の中で楽しめる大吟醸酒もあるだろうが、やっぱり我家の食スタイルには純米吟醸酒精米歩合55%程度)というのが限度だなぁ・・・40%まで米を削る必要はないな。どうしても大吟醸はテースティング主体になっていってしまう。安楽な時間を持ちにくいですな。つまり食中酒という感じではないというコトかな。純米大吟醸酒なら、まだ良いんだがね。

 

僅かなアル添でも、醸造アルコール添加という手法でバランスをとって仕上げてくるカテゴリーっていうのは、やっぱり分離していってしまう香味を感ずるな。どことなく不自然さが感じられる。

まあ、頂いたお酒である。ワガハイはまず買うことのない酒を呑むコトが出来た。これもまたイイ勉強になった。有り難いことだと思う。ワガハイが買うなら「竹葉 純米」の方が安くて、しかも能登酒らしくて面白いと思うんだけどねぇ。