Etsuro1のブログ

関東南部で寝起きする四捨五入して還暦男の、適当な言語の羅列記録・自称乱学者

お子さんの工作とか自由研究の手伝い?・・・整形外科医は縫い物の日だったと言う

今週のお題「自由研究」

 

「お子さんの工作とか、自由研究の手伝いでもやられていたんですか~?もうソロソロ追い込まれてきますからねぇ・・・」

そう言われると、詳細を説明するのが面倒なので、

「ええ、まあ・・・そんな感じです・・・」

と言って誤魔化した。

「この時期、あるんですよね~、久しぶりに大工道具とか使って手をザックリと切っちゃったりとかね。」

「やっぱり多いですかぁ・・・」

 

もう、ン十年前になるだろうか、お盆の頃だったと思うのだが、チョットだけ、戸棚の引き出しが引っ掛かるところがあってそこを削ろうと鑿を研いだ。その鑿を床から20センチほどの工具箱の上に置いて、引き出しの裏側の削る箇所を確認しようとしたところ、引き出しの隅が鑿に当たって床に落ちた・・・そこにちょうどワガハイの右足があったので、中指に鑿の刃が当たってしまった。

チョット削るだけという油断で、室内で、しかも素足だったワケだ。まあ、不覚なワケだが、見事にスパッ!とキレて血がドボ~っと出てきた。こりゃあ、ヤバイ!ってなもんで、タオルで圧迫止血した。10分止血後、止まったような感じだったんだが、タオルを外すとジワ~っと出血が始まり、また大差ない出血になってしまう。

で・・・とりあえずハンカチやらタオルで傷口をグルグル巻きにして止血して、ちょっと深呼吸などして冷静さを取り戻し、考えてみた。縫い針をプライヤーで曲げて、その針を熱湯消毒して自分で縫ってしまうか?2針でイケるだろう・・・だが、糸はどうする?極細のテグスとか、ナイロン糸とか・・・綿じゃダメだな・・・麻酔はムリだから我慢するとしても、ああ、丁度良さそうな糸がないな。

自分で縫い合わせてしまうのは不可能と判断し、外科を探すことにした。まずいコトに夕方のお盆、多くの医院は休診だ。ということで、比較的近隣の救急対応出来る病院に直接電話してみた。すると、一発目の病院で当直医が整形外科なので対応出来るという。ナンなら救急車出動でもいい、と言う(コロナ禍の今ではあり得ない)。

ワガハイは、一応止血のタオルさえ外さなければ運転可能だったので、30分以内に伺う旨を伝えて、とりあえずの傷の状況を伝えた。

さて、ふと気がついて、これは重要な確認事項である!一応、鑿の刃の状態をよ~く観察してみる。刃が欠けていないかを確認するのである。万一欠けていた場合は、傷の中に刃の破片が入ってしまっている場合があるからだ。ま、鑿は欠けていないようだった。

ブカブカのサンダルでないと、止血タオルで膨らんだ足を入れることが出来ないので、一番ボロいサンダルに足を入れ、運転中にズレると危ないのでガムテープで固定してイザ病院へ!

 

「止血されたんですね~どんな感じですかねぇ・・・タオル外すと出血しちゃいそうですか?」

看護師さんは図星のコトを言う、流石である!

「ええぇぇ・・・まあ、ドボ~ってな感じになると思います。」

というと、

「ああぁぁぁ・・・分かりました。ありがちですねぇ・・・ちょっと先生が来るまでそのままにしておきましょう・・・あ、ガムテープは外しておきましょうか?」

「それは、それ位は自分でやっておきます・・・」

みたいな会話をし、まもなく体格のいい先生がやって来た。

「な~に?ドボ~って出血しちゃうんだってぇ・・・じゃ、とにかく一回タオル外すから・・・・・・ああ、やっぱり止まらないねぇ・・・」

と言って、先生は包帯グルグル巻き状態で仮止めみたいな処置をした。

「え~っと・・・悦朗さん、止血処置は完璧です。素人の対応としてはベストな処置でしたね。で、ちょっとこうなった状況を説明してもらえますか?」

ということで、冒頭の会話となったワケだ。「説明してもらえますか?」と言われたが、もう、先生が勝手にストーリー作っちゃっているんだな。なんか面白い先生だなぁ・・・などと思いましたな。

鑿の刃こぼれは無かったということを説明したが、先生は一応念のため、レントゲン撮影を指示された。そして画像の解像度の範疇では、傷の中に異物は見つからないのでそのまま縫合することになった。

「悦朗さん、止血処置はなかなかだったからね。出来るんじゃない?自分で縫っちゃえば良かったんだよ。で、2針縫うんだけど・・・どうする?麻酔する?」

「あ~~、昔、手を切った時はやっぱり2針だったんですが、直ぐだから我慢しろって言われて麻酔ナシってコト、ありましたけど・・・」

「え~~~っ?それ、どこの医者?凄いねぇ・・・どうする?麻酔する、しない?」

「面倒でしたら、麻酔ナシでもいいですけど・・・」

そういうと、先生がしばらくフリーズしていたなぁ。

「やっぱり、麻酔しましょう。ここは病院だからなぁ・・・野戦病院じゃないんだからな。ということで悦朗さん、ここは病院なんで通常の医療を行ないます。麻酔しましょう。」

ということで、通常の手順で2針縫われて包帯を巻かれている時に

「ここの病院の外来は混むから、毎日の処置は自分でやって下さい。その方法は看護師から説明があるからね。でも、痛みが酷いとか、傷周りの状態が変な時は来て下さい。一週間後に糸を抜きます。あ~、なんか、自分で糸外せるカナ?外せるようだったら自分でやっていいですよ。出来そうだもんなぁ。」

「いやぁ~先生、さっき野戦病院じゃないって言われたじゃないですかぁ。」

「分かりました。通常の常識的な医療を提供することにしましょう!来週、外来で処置します。お大事に。」

 

傷は順調な経過を経て、一週間後の外来・・・先生は挨拶もなしに

「あの日は、悦朗さんが最初だったけど・・・だいたい当直最初の患者さんって、当直の傾向を決めるんだよなぁ・・・あの日はさ、6人!なんか縫い物の日だったね。よく縫ったよ。」

「あのぉ・・・一応ここではスイマセンデシタ、って言わないといけないんでしょうか?」

「ああ(笑)・・・誤るコトはないんだけど、やっぱり夏休みの宿題かなぁ・・・ちょっと深く指を切っちゃった、とか、カッターナイフで切っちゃったっていうのが多かったね。お盆は休診のところも多いから、ちょっとそのタイミングを外して宿題やってもらった方がいいんだがねぇ・・・でもそのタイミングじゃないと会社休めないか・・・オレ、休めないんだけどね。」

 

この先生、大病院の整形外科勤務医だったけど、後日、知り合いの看護師から聞いたんだが、この先生の病院内の評判はもの凄く良かったのだそうだ。そして現在は整形外科医院を開業されている。

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パンを焼けば火傷もするし・・・このパンは贔屓のパン屋さんの好物です

コロナ禍の今、夏休みの宿題に追われるお子さん、そしてお父さんお母さん、自由研究や工作なんかやるならば、十分に注意して下さいね。ちょっとだからと油断すると、怪我しますな。