静岡県御殿場市保土沢、標高480mに位置する小さな酒蔵が(株)根上酒造店だ。社長さんが杜氏で、少人数で造られているので三季醸造らしい。
御殿場は夏でも涼しい。冬は勿論、富士山の裾野だから寒い。つまり年間を通して猛烈に暑いということが少ない場所だ。そうしたことも、三季醸造で少しずつ丁寧に醸すという方法に向いているのかもしれない。
「金明」に関する情報は少ない。結局、地元御殿場の酒販店から伺った話を簡略にまとめると以上のような内容となる。静岡県内でも多くの酒販店で購入出来る酒ではなく、まして県外へは持ち出し禁止なのではなかろうか?と思うほどに見かけることがない。そもそも、御殿場市内でもマゴマゴしていると買いそびれるらしい。なぜならわかっている者は遠方でも買いにやって来るのだ。遠方という程ではないにしても、ワガハイもまた越境して時々買いに行くのである。そして見つけるとすかさず購入するのだ。
「雄町」という酒米も、醸すのが難しい米なんだそうだ。どの様に難しいのか分からんが・・・まあ、その方の話を聞いていると、どの米もみんな難しいんだけどね。で、ワガハイの飲酒経験からすれば、川西屋酒造店のお仕事がベンチマークとなるのだが、つまり「隆(小藤ラベル)」並に楽しめる「雄町」というのはなかなか存在しない。そして、ある意味記録更新と言えるのかもしれないが、この「金明」の「雄町」は、「隆」に並んで楽しめる酒だったなぁ・・・
「隆(小藤ラベル)」はだいたい精米歩合が60%の岡山雄町、「金明」は、というと以下の画像(裏ラベル)を参照しよう。
岡山県産雄町を55%精米だ。「隆」に比べてやや多めに米を削っていることになる。それだけが理由ではないだろうが、「金明」の香味はより奥ゆかしい感触となっている。そしてぬる燗にすると柔らかく静かな香味が口中に拡がる。ワガハイ的には温度帯としては風呂の適温が宜しい感じがしましたな。この温度帯での香味は「隆」よりも楽しい。そして常温(室温)から冷やでは「隆」の方が楽しいですな。それぞれの個性でしょうな。優劣の問題ではないですな。
「雄町」を使った酒っていうのも結構見かけるのだが、その内容については?????というコトが多いだけに、この「金明」は貴重な一本ですなぁ。
〈追記〉2021年5月28日
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